相続により不動産を取得する場合に注意すべきこと

  相続により不動産を取得する場合に注意すべきこと

不動産を相続した場合において、その手続きの流れと必要書類、不動産の相続時に発生する税金、相続した不動産に関するトラブルを回避するための遺産分割方法などの注意すべきことをご紹介。

【執筆・監修】上田 謙悟

建設業許可申請・経営事項審査・入札参加資格審査審査申請等各種許認可登録申請を25年間行い、現在は法人設立・事業承継・資金調達・M&A・不動産取引・不動産投資等に関する相談などを承っております。

【保有資格】行政書士・宅地建物取引士

目次

相続が開始して、その相続財産のなかに土地や建物などの不動産が含まれている場合において、不動産は単純に法定相続分にもとづいて遺産分割することが容易ではない財産でありますので、相談人同士のトラブルに発展していく可能性が高くなります。したがって、さまざまな角度から検討することが必要になります。

今回は不動産を相続した場合において、その手続きの流れと必要書類、不動産の相続時に発生する税金、相続した不動産に関する相続人同士のトラブルを回避するための遺産分割方法、相続した不動産をそのまま放置しているとどのようになるのか、などの注意すべきことをご紹介していきたと思います。

不動産の相続に関する手続きの流れと必要書類

どのような相続財産があるのか、だれが相続人になるのかを確認する

まずはじめにその不動産にどのような登記がされているか、およびどのような相続財産があるか(現金や預貯金、株式・社債等有価証券な・他の土地・家屋等の不動産などのほか、貴金属・美術品等の動産、ゴルフ会員権なども相続財産に含まれます。)などの資産、借金などの負債の状況、ならびにだれが相続人になるのかについて調査して確認します。

相続財産や相続人が後になってあらたに現れてくると紛争にまで発展してしまう可能性が高くなりますので、相続財産や相続人の調査や確認作業は、弁護士・司法書士・行政書士などの相続の専門家に依頼するのが無難でしょう。

遺言書の有無を確認する

遺言書がある場合、公正証書遺言書以外は、開封するには家庭裁判所の検認手続きが必要になります。また2020年からスタートしている自筆証書遺言書を法務局または地方法務局に預けておく「自筆証書遺言書保管制度」を利用している場合は、公布の申請が必要になります。

なお「自筆証書遺言書保管制度」につきましては法務局または地方法務局のホームページで詳細を確認することができます。公正証書遺言を作成している場合 は、公証役場「遺言検索システム」によって調べることができます。

遺言書がない場合や相続人が複数名存在している場合の不動産の相続は、相続人全員で行われる「遺産分割協議」によって不動産の相続人を決定し、相続登記手続きを行います。

遺産分割協議を行う

遺産分割協議とは相続人の全員で、相続財産をどのように分けるのかを決定する話し合いのことです。相続人が自分ひとりだけである場合は必要ありません。

不動産の分割方法

現物分割

現物分割とは、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割する方法のことです。たとえば一筆の土地を法定相続分の割合に応じて分筆したりする場合などがあげられます。ただ、建物などの場合は、法定相続分どおりに分筆するということが困難なケースが多く見られます。

代償分割

代償分割とは、特定の相続人が一つの不動産のすべてを取得すること を認める代わりに、他の相続人に対する債務を負担させ る(代償金)という分割方法のことです。特定の相続人が取得する不動産の評価額が、その相続人の法定相続分を上回る場合に、この方法を選択することが考えられます。

換価分割

換価分割とは、相続の対象となっている不動産を第三者に対して任意で売却し、その売却代金諸経費を控除した残金を法定相続分に応じて分配するという方法のことです。

たとえば、不動産を取得した相続人が代償金を支払う能力がない場合や、そもそも不動産を取得する希望する相続人がないという場合に第三者に当該不動産を売却し、売却代金から諸経費を控除した残金を相続人間で分配します。

換価分割を選択するにあたっては、売却に関する内容(最低売却価格、売却の具体的方法、相続登記手続きおよび所有権移転登記手続きの費用負担方法)や経過報告、相続人間の協力などにより、事前にきちんと話し合っておく必要があります。

共有分割

共有分割とは、相続財産の一部、もしくはすべてを複数の相続人が共同で所有する方法です。 一見、公平な分割方法だと思われるかもしれませんが、不動産などを共有分割する場合は、十分な注意が必要です。相続の対象となっている不動産を、各相続人法定相続分に応じた共有とする方法のことです。

相続が開始して相続の対象としての不動産をそのままにしておくと相続人全員の共有状態になります。共有名義の不動産は、名義人全員の同意がなければ売却することが出来ません。戸建てなどで、建物は自身の持ち分だが土地は別の相続人の持ち分である等のパターンでは売却がさらに困難となります。

ただし、自分の持ち分のみを売却する事は可能で、例えばマンション1棟のうち1室が持ち分である場合、土地のみを共有名義で保有しており、持ち分のみを売却できる形状であるケースでは売却を行う事が出来ます。

しかしながら、「持ち分だけを購入したい」という買い手が見つかるケースも稀であることから、共有名義の不動産は単独名義に比べて売却が難しい傾向にあります。名義人全員との関係性が良好でないと、現金化することや担保設定することもできなくなるため、活用の幅がなおさらに狭くなる可能性もあります。

また共有名義の不動産で、名義人の1人が亡くなり相続が開始した場合にはさらに不動産の権利関係が複雑になります。

例えば、夫婦2人と成人した子供2人の4人家族では、法定相続分(法律上定められた遺産の取り分)が妻は1/2、子供は1人当たり1/4となります。法定相続通りに分割した後、子供の1人が亡くなり1/4の不動産を孫の数人が相続する事になると、相続が発生するたびに所有者が増え、権利関係が細分化されていくことになります。

このように、最初の相続では問題が無かった権利関係が、所有者が増える事で、売却・処分の際に意見がまとまらない可能性が高くなってしまいます。

このように共有名義にする大きなデメリットとして、トラブルが起こりやすいという点が挙げられます。 既述したように、共有名義の不動産は名義人全員の合意がなければ売却が不可能となってしないいます。

また、賃貸借契約においても基本的に全員の同意があり、代表者が他の所有者から委任状を受け取ることによって契約を締結することができます。そのため、「売却したい」「貸し出したい」という意向があった時に、話がまとまらないと名義人同士でトラブルが起こる可能性が高くなります。

したがって、共有分割はあくまでも他の分割方法を選択が困難である場合の最後の手段であると心得ておくべきであるといえます。

相続する方法は遺言書に指定があればそれに従います。また、協議で決めた内容は遺産分割協議書を作成してまとめます。

この遺産分割協議書を行い、相続による所有権移転登記手続きを行うことによって正式に遺産が相続人のものになるのです 不動産を相続するには相続による所有権移転登記をし、名義変更をする必要があります。

名義変更は遺産分割協議が終わったタイミングで行い、必要書類を揃えて法務局または地方法務局、支局または出張所に申請します。必要書類は遺言書や相続人など により異なりますが主に次のものです。

  • 相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、住民票
  • 被相続人(死亡した人)の戸籍謄本、住民票
  • 不動産の固定資産税評価証明書、登記事項証明書
  • 遺産分割協議書(遺言書が存在する、または法定相続分で相続することが決まっている場合は不要となるケースがあります。)

貸付事業用宅地等:限度面積200㎡まで50%減税 これらの書類は法務局・地方法務局や市区町村役場などに取り寄せが必要なうえ、相続人が多いほど揃える書類が増える手間がかかります。不動産の相続には、申告期限があるため、早めに準備をしておきましょう。

また、相続の手続きは自分で行うことができますが、正しく手続きを行わないと、法的に認められないこともあるため、不動産登記手続きの専門家である司法書士に依頼するのが一般的です。

土地を相続する場合は「分筆相続」といって、ひとつの土地を複数の土地に分けて相続することもできます(分割相続の一種)。分筆相続は法務局で土地を分ける手続き「分筆登記」をしてから、それぞれの土地について相続登記を行います。

ただし、あまり広くない土地を複数人で分筆登記すると、敷地が狭いために用途が限られて価値が下がってしまう可能性があります。さらに平等に分割したつもりでも、土地の値段は周辺環境や景気などによって変動する可能性がありますので、将来の価格変動についても考慮しながら検討するようにしましょう。

不動産を相続する時に発生する税金

相続財産に不動産がある場合、購入したケースとは異なり、その不動産を所有し続けるのか、それとも売却するのかを検討する必要があります。

不動産を所有すると、どのような税金を負担しなければならないのか、どれくらいの負担額になるのかといったことも、判断材料の一つになります。不動産を相続した場合に関係する税金は、「相続した際に負担する必要がある、いわばイニシャルコスト的性格を持つもの」と、「不動産を所有する限り負担する必要のある、ランニングコスト的性格を持つもの」に分けることができます。

一回だけかかる相続税

イニシャルコスト的性格の税金としては、まず相続税が挙げられます。その名称が示すとおり、財産を相続した場合に負担する税金です。相続税は相続した財産単体にかかるものではありません。相続財産全体の金額・法定相続人の数や利用できる控除制度や特例を踏まえて計算するので、遺産総額によっては多額になる可能性もあります。または、非課税の範囲内で収まる可能性もあります。

ある程度、正確に相続税の額を知るためには、財産額の相続税評価額が必要ですが、不動産については、この評価方法が多少、専門的な内容になります。そのため、不動産を含む財産について相続税を払う必要があるのか、課税されるとしたらどのくらいになるのかを相続前に知りたい場合は、専門家の税理士に相談するのが良いでしょう。

相続財産の額によっては相続税がかかる:申告・納付

相続する不動産の価格が、後述する基礎控除を超えた場合は相続税の申告が必要になります。相続税を納めるのに必要な申告書仮に相続財産が不動産だけで現金の相続がなかったとしても、相続開始から10ヵ月以内に相続税を現金で納付しなくてはなりません。

相続した不動産の評価額によっては、思いもよらない高額な相続税となってしまうこともあり、同居していた家と土地を相続したけれども、その相続税を払うために家を売却せざるを得なくなったという悲劇も起こり得ます。

このような事態を防ぐために、基礎控除や特例が制定されているのです。

相続税は不動産だけではなく、遺産の総額において発生する税金です。 この課税対象となる資産の総額に対し、基礎控除額の方が多いときは相続税の支払いは不要です。

基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算出します。 実際は算出した結果、支払い不要となるケースが多いです。

小規模宅地等の特例

生計を共にしていた親族から居住用や事業用の土地を相続した場合、条件を満たす土地に対して相続税を引き下げる特例です。

  • 特定居住用宅地等:限度面積330㎡まで80%減税
  • 特定事業用宅地等:限度面積400㎡まで80%減税
  • 特定同族会社事業用宅地等:限度面積400㎡まで80%減税
  • 貸付事業用宅地等:限度面積200㎡まで50%減税

不動産の相続から一定期間内の売却に対しても、譲渡所得税の軽減につながる特例があります。

不動産を相続してから3年10ヵ月以内に売却した場合、支払った相続税から一定額を不動産の取得費用に加算することができるという特例です。譲渡所得税は、不動産を売って得た利益(譲渡所得)に対して課税されます。

譲渡所得は売却金額からその不動産の取得や売却にかかった費用を差し引いて計算するため、取得費が大きくなれば譲渡所得が少なくなり、その分譲渡所得税を下げることができます。

一回だけかかる登録免許税

土地のみを相続した場合、土地は名義変更から 不動産を相続した場合、まずは名義変更が必要です。不動産の権利関係については、「登記」といって、法務局または地方法務局が管理する公の帳簿に記録する制度となっています。相続により所有者が変わった場合は、相続登記という手続きで登記簿の情報を変更します。

この際、登録免許税として相続登記する物件の固定資産税評価額の0.4%の税金を支払う必要があります。税金以外の費用としては、提出書類(戸籍・住民票・印鑑証明書等)の取得費用のほか、司法書士などの専門家に依頼すればその手数料もかかります。

これらは継続的に発生する費用ではなく、相続の際に発生する費用であり、イニシャルコスト的性格の税金と言えます。

継続的にかかる固定資産税

相続税や登録免許税といったイニシャルコスト的な税金に対し、ランニングコスト的な性格をもつ税金としては、固定資産税が挙げられます。固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの固定資産の所有者に対して発生する税金です。

また、所有する土地・建物が都市計画法による市街化区域内に所在するものであれば、固定資産税に加えて都市計画税がかかります。これらの税金については、自分で申告書を作成・提出するのではなく、毎年地方自治体から送られてくる納付書に沿って支払うこととなります。

上記以外の税金としては、例えば、相続した不動産を賃貸に出すなどした場合、利益があれば所得税がかかります。所得税は不動産関連に限ったものではないため、給与や事業による所得と合わせて、いわゆる確定申告で申告・納税します。

より多くの判断材料を確保しよう

相続財産に不動産が含まれている場合、所有し続けるのか、売却するのか、所有するとしても自分で使うのか、賃貸に出すのかといったことを決断する必要があります。

しかし、このような大きな決断をする際には、多くの判断材料が必要です。その一助として、関連する税金についても把握しておきましょう。

遺産分割について事件にまで発展した約7割が遺産総額5,000万円以下の案件です。つまり一般的な家庭にこそ、相続トラブルの芽が潜んでいると言えるのです。 トラブルを回避するには平等に分割するのが理想でありますが、相続財産に不動産が含まれている場合には、なかなか思いどおりには運べません。

相続人全員が満足することができる不動産の分割というのは現実問題としてほとんど不可能なことだからです。 相続不動産を分割する方法としては、

  • 換価分割
  • 現物分割
  • 代償分割方
  • 共有分割

の4種類があります。 このうち、最も平等に分割できる方法が換価分割です。 相続不動産を売却した後に現金を分配するので、相続人誰もが納得のできる方法だと思われがちですが、しかし相続する家に同居家族がいる場合には安易に売却することはできません。

その場合には、他の相続人に自宅の不動産の価額に相当する代償金を渡す代償分割が適しています。 もっとも現実に渡せるだけの現金を調達することができなければ、この方法は実行できません。

あらゆる相続で言えることですが、トラブルを回避できる最善の方法は遺言書による相続であります。 法的に有効な遺言書であれば、遺留分を侵害しない限り、遺言どおりに分割することができます。

とり分け相続財産の中に不動産が含まれているようなケースでは、現実的に平等な分配は困難であるため、遺言書の存在は非常に心強いものになります。 親が持ち家に住んでいるのであれば、元気なうちに相続をテーマにした話し合いの機会を設けて、遺言書を作成してもらうようお願いをしてみることをおすすめします。それが将来の相続不動産に関するトラブルを回避する道に通じるのです。

遺言書がないような場合には、民法で規定された法定相続分を相続することになります。 「相続トラブル」と聞くと、資産家の家族で発生する問題だと考えがちですが、実は遺産分割で事件にまで発展した約7割が、遺産総額5,000万円以下の案件です。 1,000万円以下の案件だけでも全体の約3割を占めています。

「うちの親族は相続トラブルとは無縁だ」と考えている人の多くは、「遺言書がなくても法定相続分で分割すればいい」と考えているようですが、相続不動産は現金のように単純に分割できる財産でありません。自宅や田畑などの不動産があると、その資産価値をどう評価するのかによって、それぞれの相続額が大きく異なってきます。 実際に売却をして現金化すれば問題は解決できますが、現実はそれほど簡単に運びません。

親が住んでいた自宅に同居していた相続人がいた場合は、まず自宅を売却する選択肢を外さなければなりません。そのうえで、他の相続人に不動産価額から割り出した現金を渡すことになります。

このときの金額によってはトラブルに発展することがあります。 あるいは長い間、親の介護をしてきた立場で、それまで一切無関係で過ごしてきた兄弟姉妹と相続する額がおなじであると、なかなか納得がいくものではありません。 また要介護者になる可能性もあります。

その事実を捉えただけでも、 人生100年時代・少子高齢社会にあって、相続をめぐるトラブルはきわめて身近な問題なのです。 不動産相続でのトラブルが起こると、解決のために更に大きなストレスを抱え込むこととなってしまいます。トラブルを未然に防止するためにどのようなことに気をつけていれば良いのか?

用意しておくこと

財産目録を作成する

被相続人の財産の全容を把握するのは困難なことですが、事前に整理して財産目録を作っておけば、相続手続きをスムーズにすすめること ができます。土地や銀行預金、住宅ローンや生命保険など、プラスもマイナスもまとめておきましょう。

相続税の確認

2015年からの相続税法改正を受けて、相続税対策をしようとする方が増えてきています。相続税がかからないというケースも多々あるので、事前に調べておきましょう。

法定相続人の整理

法定相続人の数が増えると、相続について再検討しなくてはならないので、法定相続人の数をきちんと把握・確定させてから相続手続きを進めましょう。

コミュニケーションをしっかりと図る。

相続手続きをするときになって、遺産について「知らなかった」「聞いていなかった」と言うことがあるとトラブルに繋がります。基本的なことですが、生前から相続人と財産の有無や相続について予め話し合い、確認しておくことが大切です。

相続人が亡くなった後に、介護などで貢献したのに相続分が小さいと言ったようなトラブルもあることなので、そのようなことがないようにすることが大切です。

また、話し合いは高齢になってくると難しくなる場合もあるため、相続人が話し合える若く早い段階から話し合っておきましょう。

不動産相続に関わるトラブルを防ぐ方法は、場合によってはどの方法も難しいこともあり、そのようなときは相続した不動産(自宅)を一旦不動産会社に売却して賃貸契約として住み続けるリースバックシステムの利用を検討しましょう。

リースバックを検討する際の確認ポイント

信頼出来る不動産業者かどうか

特に業者の資力は重要で、資力の低い業者だと売却した大切な自宅の転売や、業者自体が倒産すると言った危険性があります。

営業担当者との相性

人によって大きく異なるので一概には言えませんが、システムに関する十分な理解度や知識を持っているかどうかを確認しておきましょう。信頼出来る業者としては、ハウスドゥ!があります。

ハウス・リースバックについて

ハウス・リースバックとは、自宅を一旦売却してまとまったお金を手に入れ、なおかつリース契約をして自宅にそのまま住み続けることが出来るというサービスのことです。

不動産は分割が難しい点がありますが、簡単な手続きで済むこのシステムを利用すれば、標準で40日、最短なら何と20日という短期間で換金することができます。売却や競売と異なり取引情報が公開されることはありません。必要であれば再度購入することも可能となっています。

相続した不動産を放置していると損?

管理が難しく建物の場合は手入れがおろそかになることで、その価値を下げてしまうこともあります。また、管理が難しいからと放置していても、その間固定資産税を払い続けなければなりません。

固定資産税は「固定資産税評価額(課税評価額)×1.4%(標準税率)」で算出することができます。この固定資産税評価額は土地と建物の合計額になり、例えばこの合計が2,800万円の場合は、年間約48万円の固定資産税がかかってきます。

もしこの固定資産税を滞納してしまうと、役所からの督促も無視して放置していると、最終的には給与や預金、現在の住居などを差し押さえられるというリスクがあります。今後の活用を計画していない限りは、相続不動産を放置しておくことは思わぬ損失を被ることになります。

相続した不動産を売却する場合、不動産登記をする必要があります。これを相続登記と言います。 相続登記とは、不動産の所有者が死亡した場合などに、その不動産の登記名義を被相続人から相続人へ名義変更する手続きです。

この相続登記は法律上期限も罰則もありませんので、今まで相続登記もしていなかったということケースも多々ありますが、相続した不動産の売却を考える場合は、相続人の関係が複雑になったり、相続人同士がもめたりしてしまい、不動産を売却するまでに相当な時間や労力がかかることもあります。そのためその不動産の権利関係を明確にするためにも、売却を決めたら相続登記を早急に行う必要があります。

相続登記は自身で法務局に申請することもできますが、物件や相続人の調査にあたって、被相続人・相続人の戸籍謄本や除籍謄本の準備に始まり、登記事項証明書や固定資産評価証明書、相続関係説明図、法務局に提出する申請書を作成・用意する必要があり、作業はかなり煩雑です。

権利関係がもう少し複雑になると、遺産分割協議書や検認調書、登記済権利証など追加で必要になる書類も多く、個人での対応はなかなか難しくなりますので、専門家に相談するのが無難です。

相続不動産を売却することで考えられるメリット

固定資産税の負担はもちろん、物件の維持・管理からも解放される

固定資産税をそもそも払う必要や、放置しがちな物件の手入れをする手間がなくなります。

現金化することで、遺産相続の際に分けやすくなる

万が一相続人間で多少なりとも権利関係でもめてしまった場合も、現金にしていることで対応がしやすくなります。

相続税の控除を受けられる

譲渡所得に対する税が減税されるなどいくつもメリットがあります。

使わない資産をお金にすることで、別の方法で活用することもできる

生活や子育てなど日々さまざまなお金が必要な中、現金にしておくことで直ちに用立てることができます。

相続不動産に関するその他の注意点

Q.相続した不動産にローン残債がある場合、支払い義務はある?

「相続」はプラスの財産だけでなくマイナスの財産も引き継ぐことになるので、ローンの支払い義務も受け継ぐことになります。ただし、住宅ローンの場合、団体信用生命保険に加入している場合が多く、死亡時に保険金で住宅ローン完済となるので支払い義務はなくなるケースが多いとされています。

Q.相続発生後でも間に合う相続税対策はある?

相続税を軽減するための対策は、被相続人の生前に行っておくべきものがほとんどですが、評価額減額や特例の利用など、相続発生後でもとれる対策はあります。

Q.遺言書に不満がありましたが言い出せず、相続手続きが終わってしまいました。

被相続人が築いた財産を相続させるにあたって、本人の意思を反映することのできる遺言書は有益な手段となります。しかし、法定相続人に最低限相続できる権利として「遺留分」が保障されており、遺言書があっても権利主張することができます。

Q.相続人の中に認知症の母がいますが遺産分割協議は可能でしょうか。

認知症の方は意思能力が欠如しているとされ、遺産分割協議は無効とされてしまいます。成年後見制度を利用すれば、遺産分割協議は可能となります。なお、遺言書がある場合は、遺言書通りに相続財産の分割を行えばよいので、認知症かどうかは問題になりません。

まとめ

相続不動産の売却には、遺産分割協議や相続登記などと段取りが多くなります。相続人が集まれる機会も限られるため、なるべく早いうちに各種手続きを行うと良いでしょう。

特に相続人が複数いる場合には、一度タイミングを逃してしまうと、後になってからでは「なぜ今さら」と他の相続人との交渉も難しくなってしまうこともあります。ただし、不動産以外に借金などマイナスの相続財産がある場合には注意が必要です。相続不動産を売却してしまえば、相続を単純承認したこととなり、借金まで相続することになったとしても、あとから相続放棄できなくなってしまいます。

相続の問題は実に複雑です。大きなトラブルを防ぐためにも、いざというときは弁護士や行政書士・司法書士など相続手続きの専門家に相談すると良いでしょう。

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