土地を売却するときの査定方法まとめ。自分で調べる方法や査定に影響するポイントも紹介

  土地を売却するときの査定方法まとめ。自分で調べる方法や査定に影響するポイントも紹介

本記事では土地を売却するときの査定方法について詳しくまとめていきます。 「ざっくりと金額を知るために自分で調べたい」「売却前に正確な評価を知りたい」という方に役立つ情報となっていますのでぜひご活用ください。

手塚 大輔
【執筆・監修】手塚 大輔

地方銀行に10年弱勤務した後、現在は飲食店を起業しており、プロのライターとしてもSEO記事、コピーライティングなどを行なっております。 銀行では、預金業務、カードローン、住宅ローン、企業の運転資金、設備資金、起業開業支援、保険販売、投資信託販売などの他、企業の決算書の審査など経験。

【保有資格】ファイナンシャルプランナー

土地を売却する際には「いくらで売却できるのか、どの程度の価値があるのか」という査定を受ける必要があります。

売却額は自分である程度計算することもできますし、専門家に依頼することも可能です。

不動産の査定額はいくつかの要素によって決められています。

そのため「どんなポイントが査定額に影響するのか」ということを把握するのが重要です。

土地を売却する際にはどのような査定方法があるのか、査定にはどんなポイントが重要になるのか、詳しく解説していきます。

土地売却時の査定方法

土地売却時には主に次の4つの査定方法があります。

  • 不動産会社へ依頼する
  • 一括査定サイトを利用する
  • 不動産鑑定士へ依頼する
  • 自分で評価を算出する

それぞれの査定方法の特徴やメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

不動産会社へ依頼する

売却活動の依頼をすることを検討している不動産会社へ査定を依頼する方法です。

不動産会社へ訪問し、土地の住所などの情報を伝えることで「いくらで売却できそうか」という査定を行なってくれます。

なお、不動産会社が行う査定には次の2つの種類があります。

  • 机上査定
  • 訪問査定

机上査定とは

机上査定とは現地まで訪問せず、土地の面積や形状や立地や接道など、資料から分かる情報を参考に、机の上で査定額を算出する方法です。

資料を参考にざっと金額を算出するだけですので、1日で査定は終了します。

最初に不動産会社に相談する際には、まず机上査定が行われます。

机上査定は簡易査定とも呼ばれます。

訪問査定とは

訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に現地まで赴き、土地の現況を確認して行う査定です。

特に周辺環境や日当たりなどは実際に現地へ訪問しないと分かりません。

机上査定で算出した金額をベースに、訪問査定で分かったことを加減していくのが基本です。

そのため、机上査定を行い、売主が「売却活動を進めて欲しい」と依頼した後に、訪問査定を行うことが一般的です。

一括査定サイトを利用する

一括査定サイトを利用して査定を受ける方法もあります。

一括査定サイトとは、不動産情報を入力するだけで、サイトと提携している不動産会社複数から査定が届くサービスです。

  • 一度の入力で複数の不動産会社から査定を受けられる
  • 提携している不動産会社はサイトの基準をクリアしているので安心

この2点が一括査定サイトのメリットです。

「どの不動産会社へ相談したらよいか分からない」という方は一括査定サイトを利用するのがよいでしょう。

一括査定サイトでは不動産会社は机上査定を行なって査定額を算出します。

オススメの一括査定サイトに関してはこちらの記事も参考にしてみてください。

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不動産鑑定士に依頼する

不動産鑑定士とは、不動産の評価額を客観的に評価するための国家資格です。

不動産鑑定士の評価額は裁判や納税の際の証拠資料として認められるので、相続問題などで裁判になった場合、相続税や贈与税を納税する際に不動産の評価額を下げたい場合などに不動産鑑定士へ依頼することが有効です。

ただし不動産鑑定士へ評価を依頼すると20〜30万円の費用が発生するので、単に「不動産を売却したい」という場面においては不動産鑑定士に依頼することがほとんどありません。

自分で評価を算出する

「自分の土地はどの程度で売却できるのだろう」と、ざっくりとした不動産の評価額を知りたいのであれば、自分で土地の評価を算出することが可能です。

固定資産税の評価額や、行政が公表している公示地価などから、一般の方でも簡易な評価額を算出することができます。

自分で売却価格を計算する方法

自分で売却価格を計算する際には主に次の2つのいずれかの方法で査定を行います。

  • 公的な評価額から計算する
  • 実勢価格を参考にする

一般の人が査定をするため、正確な売価になるわけではありませんが、比較的簡単に売却額の目安を計算することは可能ですので、計算方法を理解しておいて損はないでしょう。

自分で売却価格を計算する方法をご紹介していきます。

公的な評価額から計算する

自分で不動産価格を算出する際には行政が公表している地価から計算する方法が最も簡単です。

行政が公表している地価には次の3つの種類があります。

概要 調べられる場所
公示地価 国土交通省が発表する土地の基準となる価格 国土交通省のサイトまたは全国地価マップ
路線価 国税庁が発表する税金の算出のために利用される価格 国税庁のホームページまたは全国地価マップ
固定資産税評価額 固定資産税を算出するために用いられる価格
公示地価の70%程度
固定資産税通知書などに記載

基本的には近隣の公示地価を調べて、「公示地価×所有する土地の面積」でざっくりとした評価額を知ることができます。

また、「固定資産税評価額÷70%」でおおよその評価額を知ることも可能です。

路線価はあまり使用することはありません。

実勢価格を参考にする

実勢価格とは実際に取引された価格のことです。

近くの土地が実際にいくらで取引されたのかを調べ、そこから土地の単価をも計算し、「計算した土地単価×所有する土地の面積」で計算します。

例えば実際に200㎡の土地が2,000万円で取引されていた場合には、その地域の土地の単価は2,000万円÷200㎡=10万円です。

自分が所有する土地の面積が80㎡であれば、10万円×80㎡=800万円と計算することができます。

実勢価格は国土交通省の「土地総合情報システム」か、指定流通機構(REINS)が管理する「レインズマーケットインフォメーション」で調べることができます。

近くに実際に売買された土地があるのであれば、実勢価格から評価額を算出することも可能です。

土地の査定額を決めるポイント

土地の査定額は次の8つの要素によって決定します。

  • 土地に設定された法律上の規制
  • 土地の面積
  • 接道の状況や道路の幅
  • 立地・周辺環境
  • 日当たり
  • 土地の形状
  • 埋設物や土壌汚染
  • ライフラインなどのインフラ整備

同じような場所に位置する土地であっても、上記のポイントが少し異なるだけで価格に大きな違いが生じることもあります。

土地の査定額を決める8つの要素について詳しく解説していきます。

土地に設定された法律上の規制

土地にどのような法律上の規制がかけられているのかによって評価額は左右されます。

「都市計画法」という法律では土地の用途が定められています。

ここでは市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域に分けられており、開発が制限される市街化調整区域の場合には評価額は低くなります。

また市街化区域内は、住居系・商業系・工業系の3つに分けられ、さらに用途地域が13種類に細分化されています。

用途地域によって建築できる建物の種類や建ぺい率や容積率が異なるので、用途地域によっても評価額は異なります。

基本的には広い建物を自由に建てられる土地の方が評価は高くなるでしょう。

土地の面積

土地の面積が広い方が評価額は高くなる傾向があります。

広い土地はさまざまな用途に活用することができ、需要も高いので坪単価も高くなります。

ただし、あまりにも広すぎる土地は、買い手が見つからないので価格が下がってしまうこともあります。

接道の状況や道路の幅

接道が南向きの方が日当たりがよくなるので評価は高くなります。

また、前面道路の幅が広いと、建築できる建物の容積率が大きくなるので、大きな建物を立てることができます。

逆に接道が北向きで前面道路の幅が狭い土地は評価が低くなる傾向があります。

立地・周辺環境

駅から近い立地の方が評価額は高くなります。

また、周辺に学校や病院やスーパーがあるなど、利便性の高い立地の土地も評価される傾向になります。

反対に駅から遠く、周辺には嫌悪施設が建設されている土地などは評価が低くなってしまうでしょう。

日当たり

南向きで日当たりが良好な土地の方が評価は高くなります。

反対に、南側に建物があるなど、日当たりを遮られている土地の場合には評価額は低くなる傾向があります。

土地の形状

土地の形状が正方形や長方形など、しっかりと整形されている方が評価額は高くなります。

台形、細長、三角などの不整形な形の土地は使用しにくいので、評価額は下がってしまいします。

埋没物や土壌汚染

土地に埋没物や土壌汚染などがある場合には評価額は大きく下がります。

文化財などの埋没物がある場合には、文化財保護の規制によって土地の開発ができない可能性があります。

また、土壌汚染があった場合には除去に費用がかかります。

このような理由によって、埋没物や土壌汚染がある土地は評価額が著しく低くなるでしょう。

ライフラインなどのインフラ整備

土地にライフラインなどが敷かれているかどうかでも評価額は大きく異なります。

すでに水道・電気・ガスが敷設されており、あとは契約するだけという状態の土地は評価が高くなります。

一方、ライフラインが敷かれていない土地は相対的に評価額が下がります。

さらに、土地の立地や周辺環境によってはライフラインの敷設ができない場合があります。

このような土地は買い手が見つかりにくいので、評価額が著しく下がってしまうでしょう。

土地の査定を受ける前に注意すべきポイント

土地の査定を受ける前には、まずは自分で次の4つの準備をしておきましょう。

  • 周辺の相場を把握する
  • 土地を整理する
  • 必要書類を集めておく
  • 土地のアピールポイントを理解する

事前に準備すべき4つのポイントを詳しく解説していきます。

周辺の相場を把握する

まずは周辺の土地がいくらで売却されているのかを自分で把握することが重要です。

周辺相場を理解していないと、不動産会社などに安く買い叩かれてしまう可能性があります。

また、不動産会社が出した査定額が妥当なものかどうかの判断もできません。

まずは不動産情報サイトや実勢価格から「自分が所有する土地に類似する土地が単価いくらで売却されているのか」という点をしっかりと把握しましょう。

不動産会社の中には、相場よりも非常な安値で買い叩こうとする業者も混じっていますし、不動産会社によって査定額も大きく異なります。

自分の身を守るためにも、不動産会社に任せきりにするのではなく、周辺相場を把握しておきましょう。

土地を整理する

土地を売却しやすい形に整理しましょう。

土地に植木や雑木、雑草が残っている場合には、必ず除去した上で売却活動を開始してください。

不動産会社や購入希望者の印象も異なりますし、買い手が土地を整理する費用を負担する必要もないためです。

土地に建物が建築されている場合には、解体するかどうかは不動産会社へ相談しましょう。

建物によってはそのまま中古住宅や古家付き土地として売却できる可能性があります。

また、再建築不可の土地に建築されている建物を解体してしまうと、その土地には2度と建物を建てることができなくなるので土地の価格は大幅に下落してしまいます。

植木や雑木、雑草は除去しなければなりませんが、建物の解体については必ず不動産会社と相談した上で行うようにしてください。

必要書類を集めておく

不動産を売却するために必要な書類は漏れのないように集めておきましょう。

不動産の売却活動に必要になる書類は次の通りです。

  • 登記簿謄本
  • 測量図(境界の確認できる書類)
  • 権利書
  • 購入時の契約書や重要事項説明書

机上査定を依頼する場合には登記簿謄本を法務局から取得するだけで評価を受けることができます。

しかし実際に売却活動をスタートさせるのであれば上記の書類は全て必要になります。

特に隣地との境界が明確になっていない土地は売却できないため、測量図がない場合には土地家屋調査士へ依頼して、境界を確定させ、測量図を作成してもらう必要があります。

測量には20万円〜50万円程度の高額な費用が必要になります。

土地のアピールポイントを理解する

土地がどのような形状なのか、土地の用途はどのようになっており、法規制はかかっているのかという点をしっかりと確認し、理解しておきましょう。

例えば形状が良い、日当たりが良い、周辺環境が良いなどの部分は、土地の評価にはプラスですので、売却活動の際にはアピールポイントとなります。

その土地の所有者にしか分からないアピールポイントをしっかりと理解して、売却活動の際には積極的に売り込みを行っていきましょう。

イレギュラーな不動産売却時の査定方法

ここまでは自分が所有する土地を売却する場合の評価方法をご紹介してきました。

しかし、不動産の売却を検討する方の中には「人の土地の上に建つ建物や権利を売却したい」と考える人も多いのではないでしょうか?

  • 定期借地権付きマンション
  • 普通借地権付きマンション
  • 定期借地権付き土地

これらの不動産を売却する際の査定方法などについて解説していきます。

定期借地権付きマンションの査定

定期借地権とは、あらかじめ設定された期間が経過したら更新できない借地権です。

そのため、例えば期間50年の定期借地権が設定されたマンションであれば、50年経過後はマンションを解体し、更地にして地主へ返還しなければなりません。

鉄筋コンクリートのマンションであれば、しっかりとメンテナンスをしていれば100年程度は居住できると言われていますが、定期借地権付きマンションは長期間居住できません。

そのため、定期借地権付きマンションは、同じような立地と間取りと築年数のマンションよりも大きく価格が下落すると言われています。

残存期間が短い場合には通常のマンションよりも8割程度価格が下落することも珍しくありません。

残存期間があまりにも短い場合には、不動産会社から断られてしまうケースも考えられるでしょう。

普通借地権付きマンションの査定

普通借地権とは原則的に更新できる借地権です。

そのため、定期借地権付きマンションのように、期間が到来したらマンションを解体しなければならないというデメリットがあります。

普通借地権は次のように計算します。

普通借地権=土地評価額×借地権割合

土地の評価額が1億円でその土地の借地権割合が40%であれば、土地の評価額は4,000万円です。

そこに建物の評価額が加算されるので、通常のマンションよりは売却額は安くなります。

土地や借地権割合によっても異なりますが、通常のマンションの4割〜6割程度が売却額の相場だと理解しておけばよいでしょう。

定期借地権付き土地の査定

定期借地権の評価は非常に複雑です。

借地権者への経済的利益と借地権の存続期間を基準に評価額を算出するため、一般の人が評価することはできませんし、評価額はケースバイケースです。

通常の土地よりも評価は大きく下がりますが、正確な価格を算出したいのであれば、専門家へ相談した方がよいでしょう。

まとめ

土地の売却時の査定方法は、不動産会社や不動産鑑定士へ相談することの他、自分で計算する方法もあります。

より正確な評価を知りたいのであれば不動産鑑定士へ依頼するのがベストですが、「いくらくらいで売れるのかをざっくりと知りたい」という程度であれば、不動産会社へ相談するのがよいでしょう。

ただし土地の査定額は不動産会社によってかなり金額が異なるので、信頼できる不動産会社が分からないという場合には、一括査定サイトを活用し、複数の不動産会社へ相談することをおすすめします。

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