マンション売却に必要な費用は?手数料や税金などかかる費用を一挙公開

  マンション売却に必要な費用は?手数料や税金などかかる費用を一挙公開

マンションを売却するときにはさまざまな費用がかかり、その額はおおよそマンション売却額の5%から7%だと言われています。本記事ではその費用の内訳だけでなく、費用を抑えるポイントについてもまとめていきますので、マンション売却を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

野田 真生
【執筆・監修】野田 真生

不動産会社でオウンドメディアの編集長、マーケターとして3年経験。 マーケティング業務として、ディレクション、SNSアカウント運用、YouTubeの撮影、編集、ブログの運営、記事の執筆を行っていました。

【保有資格】宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー

一般的に物を売るときに費用がかかることはありませんが、マンションをはじめ不動産を売るときは費用がかかります。マンションを売却するときの費用は数十万円~数百万円かかることもあり、売却する際は事前に用意しておかなければいけません。

マンション売却にかかる費用は意外に高いので、何にどれだけのお金が必要なのかを把握して備えておきましょう。

そこで本記事では年間50件以上の不動産売買に関わってきた私が、マンション売却にかかる費用について解説します。

この記事を読むことによって「マンション売却にかかる大体の費用はいくら?」「どんな費用がかかる?」「税金は取られない?」「費用を抑えるコツはある?」という疑問が解消され、マンション売却を成功につなげやすくなります。

マンションの売却を検討している人は参考にしてみてください。

この記事を読むとわかること
  • マンション売却でかかる費用の一覧
  • マンション売却にかかる手数料を安くするコツ
  • マンション売却でかかる税金を安くする特例

マンション売却にかかる費用は「売却額の5~7%」

マンション売却を不動産会社に依頼するのであれば、仲介手数料をはじめとしていろいろな費用がかかります。かかる費用を合計すると「マンションの売却額の5〜7%」になると言われています。

マンション売却にかかる仲介手数料の計算方法

マンション売却にかかる費用のうち、大半を占めるのが「仲介手数料」です。仲介手数料は不動産会社に支払う費用で、売却金額に応じて費用が変わります。仲介手数料は売却価格が400万超えの場合、以下の式で求めることができます。

「売却価格✕3%+6万円」

上の式を使うことで、マンションの売却金額から仲介手数料を割り出せます。ただしこれはあくまでも「上限金額」です。仲介手数料は値引きすることができるので、値引きするコツを下記で紹介します。ちなみに売却価格が400万円以下の場合は次の式で仲介手数料を求めます。

・200万円以下の部分:5%+消費税
・200万円超~400万円以下の部分:4%+消費税

売却価格が300万円であれば、
200✕5%=10万円
100✕4%=4万円となり
仲介手数料は14万円になります。

仲介手数料の概算

仲介手数料の概算は以下の通りです。

売却価格 仲介手数料の上限金額 仲介手数料の上限金額(税込)
2000万円 66万円 72万6000円
2500万円 81万円 89万1000円
3000万円 96万円 105万6000円
3500万円 111万円 122万1000円
4000万円 126万円 138万6000円
4500万円 141万円 155万1000円
5000万円 156万円 171万6000円

なぜ仲介手数料がかかってしまうのか

不動産会社が売却活動を行った報酬として仲介手数料を支払います。つまり売却に必要な人件費として仲介手数料が必要になります。以下は不動産会社が行う売却活動の一例です。

  • 売却するマンションの広告作成・ポスティング
  • 購入希望者の内覧の立ち会い
  • 買主と結ぶ売買契約書の作成

仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料を支払うタイミングは、一般的に売買契約締結時に50%、物件の引き渡し時に50%としています。本来は成功報酬なので、売買契約が締結された時点で仲介手数料を全て支払っても良いのですが、支払ったあとも業務を進めてもらわないといけないので、保険として50%ずつとなっています。

ただし、依頼する不動産会社によっては支払う割合が異なるので、売却を依頼する前に確認しておきましょう。

また複数の不動産会社に売却を依頼したとしても、仲介手数料を支払う会社は売買契約を結ぶ買主を見つけた1社だけです。複数の会社に仲介手数料を支払う必要はないので、安心してください。

その他の費用

マンション売却では仲介手数料以外にも以下の費用を負担する必要があります。

印紙税

印紙税は売買契約書に収入印紙を貼り付けて、消印をして納税する税金です。金額は売買金額によって異なります。

売買金額 印紙税
500万円超~1000万円以下 5000円
1000万円超~5000万円以下 10,000円
5000万円超~1億円以下 30,000円

登録免許税

登録免許税は法務局に支払う手数料のようなもので、マンションに設定されている抵当権を抹消するための費用です。抵当権とは住宅ローンを借りるときに、銀行がマンションにつけた担保権になります。

マンションを売却するときは基本的にローンの残債を一括返済しますので、登記簿から抵当権を抹消できます。抵当権が抹消されたマンションでないと買われないので、売主は引き渡しと同時に抵当権を抹消します。

売主の代わりに司法書士が法務局に出向いて抵当権の抹消を行います。このときに必要になるのがこの登録免許税です。登録免許税は「不動産1個あたり1,000円」となります。マンションを売却する場合でも土地と建物両方に抵当権が設定されているので、合計2,000円を負担することになります。

司法書士費用

マンション売却で司法書士の存在は欠かせません。司法書士は売却予定の不動産で以下の手続きを行います。

  • 所有者移転登記
  • 売主の抵当権抹消
  • 買主の抵当権設定

基本的に買主を見つけた不動産会社と提携している司法書士に依頼するため、自分で手配する必要はありません。かかる費用は8,000~30,000円程度です。

各種証明書類

所有者移転登記をするために証明書類を取得する必要があり、取得手数料がかかります。用意する書類とかかる費用は以下の通りです。

  • 印鑑証明書:300円
  • 住民票:300円
  • 固定資産税評価証明書:300円

清算金

清算金は必ずかかる費用ではないので、場合によってはかかるという認識で問題ありません。代表的な清算金は固定資産税と都市計画税です。

固定資産税や都市計画税は毎年1月1日時点の所有者が納税者になります。そのため7月に物件の引き渡しても売主が買主の代わりに1年分の税金を納めます。ただ実質的な負担者を買主にするため買主は半年相当の固定資産税と都市計画税を売主に支払います。

精算はあくまでも売主と買主との間で行う任意の行為なので、必須ではありません。ただし、売主としては支払う金額を少なくできるので、できる限り精算を行うのがおすすめです。

マンション売却した翌年以降にかかる費用

マンション売却で利益が出た場合は、売却した翌年に税金を支払う必要があります。

譲渡所得税

譲渡所得税はマンション売却で出た利益に対してかかる税金です。買ったときの金額よりも高く売れた場合のみ発生するので、納税するケースは多くありません。

譲渡所得が400万円を超えると以下の式で算出できます。

「譲渡所得 = 売却価格 -(購入価格+購入時の経費+売却時の経費)」
「譲渡所得 ✕ 税率 = 譲渡所得税」

譲渡所得税の税率は所得期間によって異なります。

所有期間 税率
5年以下(短期譲渡所得) 30.63%
5年超(長期譲渡所得) 15.315%

住民税

住民税は上の譲渡所得税の確定申告をすれば、同時に申告されるため単独で申告する必要はありません。住民税の税率も所得税同様、所有期間によって異なります。

所有期間 税率
5年以下(短期譲渡所得) 9%
5年超(長期譲渡所得) 5%

マンション売却で利益が出た場合は譲渡所得と住民税の両方が課せられるので、税金を計算するときは合算しましょう。所有期間が5年以下であれば住民税は9%かかるので、30%+9%で39%、所有期間が5年超であれば、住民税は5%なので15%+5%+20%で25%が税率になります。

復興特別所得税

復興特別所得税は2013年から施行された税制度です。所得税や住民税に比べて有名な税金ではないため知らない人も多く、たびたび申告漏れが起きています。この税制度は2035年まで施行される予定で、所得税を納める人は全て課税対象ですので、しっかり納めるようにしましょう。

復興特別所得税は以下の式で計算できます。

「復興特別所得税 = 譲渡所得税 ✕ 2.1%」

「譲渡所得」ではなく、「譲渡所得税」に2.1%を掛けたものが復興所得税になります。上記で解説した税金とは計算方法が異なりますので、納税する際は注意しましょう。

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一部のケースでかかる費用

ここで紹介する費用がかかるケースはほとんどありませんが、場合によって負担する必要があります。

ハウスクリーニング費用

無理に行う必要はありませんが、物件がきれいな状態のほうが印象が良くなるので、買われやすくなります。また稀ですが、売却価格に影響を与えることもあります。

ハウスクリーニングの費用は部屋の広さや痛み具合によって異なりますが、おおむね5~10万円ほどです。ただ、ハウスクリーニングであれば自分でできることも多いため費用を節約したい人は自分で行いましょう。

部屋をきれいにする方法はネットで検索すると一通り見つけられます。わざわざ高い費用を支払って業者に依頼するよりも費用対効果は高いでしょう。

リフォーム費用

マンション売却時にリフォームしたほうが高く売れると考えている売主は多いですが、ほとんどの場合、リフォーム費用を回収できません。そのため不動産会社に相談してみて、効果があると判断された場合のみリフォームしましょう。

リフォーム費用は物件によってまちまちですが、ひと部屋を丸ごとリフォームするよりも必要最小限の箇所に絞ってリフォームするほうが良いです。ちなみに3LDKで全部屋クロスを交換すると約70万円かかり、1室だと10万円程度になります。

リフォーム費用を抑えるには補助金を利用するのがおすすめです。多くの市町村で省エネやバリアフリーに関するリフォームをすると補助金を出す制度があります。市町村が指定する業者に依頼しなければいけませんが、費用を大幅に減らせます。

マンション売却にかかる手数料を安くする5つのコツ

自分が大切に住んでいた家を手放すので、せっかくなら手数料を安く抑えたいものです。全ての費用を安くすることはできませんが、「仲介手数料」はある程度安くできる可能性があります。

リフォーム費用を仲介手数料から引いてもらう

マンション売却の際に、傷んでいる箇所をリフォームすると物件に強みができるので、不動産会社としては売りやすくなります。リフォームの代金は売主負担になるので、その代わりに仲介手数料を安くする材料になるでしょう。

ただし不動産会社の相談もなしにリフォームを行って、「仲介手数料を安くして」というのはNGです。売却を依頼する不動産会社の了承を得てからリフォームを行うようにしましょう。

勝手にリフォームしてしまうと、「リフォーム費用は支払ったのに売れない」という状況に陥ってしまいます。

専属専任媒介契約を結ぶ

不動産会社と結ぶ媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」があります。仲介手数料を安くしたいのであれば、専属専任媒介契約を結びましょう。

専属専任媒介契約は最も規制が多い契約で、売主は3ヶ月間他社に売却を依頼できなくなり、自分で買主を見つけることもできません。しかしその一方で、不動産会社は期間中に買主を見つければ、確実に仲介手数料を得られるので、売却活動のモチベーションが上がります。

不動産会社としては買主から仲介手数料を得られるので、売却予定のマンションがかなり魅力的であれば、売主側の仲介手数料が無料になることもあり得ます。

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利用したことのある不動産会社を選ぶ

以前に利用したことがある不動産会社で売却を依頼すると仲介手数料を値引きできる可能性があります。実際、一部の不動産会社ではリピーターの仲介手数料を安くしています。

設備がついているマンションを売却する

壁掛けのテレビやエアコンなどの設備がついている場合、その設備を材料に仲介手数料の値引きを打診することができます。また物件価格を上乗せすることもできるでしょう。

仲介手数料が安い不動産会社を利用する

仲介手数料は上限について決められていますが、下限については決められていません。そのため最初から売主側の仲介手数料を半額や無料にしている不動産会社も存在します。

不動産会社としては売る物件がないというのは、在庫がないのと同意義ですので、抱えている物件数は多いほど良いです。そのため売主側での仲介手数料を安くしてでも在庫を確保したいと考える会社は多く存在します。そういった会社を利用すると手数料を安く済ませられるでしょう。

ただし仲介手数料の安い不動産会社全てがしっかり売却活動を行ってくれるわけではありません。中には手数料を安くすると言っておきながら別の項目で回収する場合もあります。また熱心に売却活動を行わない会社もあります。

仲介手数料が安い不動産会社を利用するのであれば、評判や口コミについては調べておくべきでしょう。

マンション売却でかかる税金を安くする特例

マンション売却で利益が出たときは譲渡所得税や住民税などの税金を納める必要があると解説しましたが、特例を使用することで納める税金を減らせます。

3000万円の特別控除

この特例を使用すると自分が住んでいたマンションを売却する場合、譲渡所得から3,000万円を控除することができます。利用するにはさまざまな条件がありますが、特例を使用することで、支払う予定の税金を大幅に減らせます。

もし特例が適用されると、譲渡所得が0になることもあり得ます。そうすると課税対象がないと見なされるので、譲渡所得税や住民税、復興特別所得税の全てが0になります。

この特例が使用できるかどうかは国税庁のHPにて、要件を確認しましょう。
参考:マイホームを売ったときの特例

所有期間が10年以上の軽減税率の特例

売却したマンションの所有期間が10年以上の場合は軽減税率が適用できます。

譲渡所得額 所得税率 住民税率
6,000万円以下 10.21% 4%
6,000万円超 15.315% 5%

まとめ

マンションを売却するときはさまざまな費用がかかります。予想よりも高額な費用がかかったらどうしようと不安になる人は多いですが、ほとんどの場合「マンションの売却価格の5~7%」で収まります。

その中でも仲介手数料を抑えることができれば、売却費用をグッと下げられます。仲介手数料を安くするコツを使ってマンション売却を成功させましょう。

  • マンション売却にかかる費用はおよそ売却額の5%〜7%
  • 仲介手数料が安い不動産会社を利用するなどでマンション売却にかかる手数料は抑えることができる
  • 3000万円の特別控どの特例を活用することで売却にかかる税金を安くすることができる

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