失敗しないマンション買い替えの基礎知識。進め方やタイミング、注意点を解説

  失敗しないマンション買い替えの基礎知識。進め方やタイミング、注意点を解説

マンション買い替えの基本的な流れやタイミングの注意点をわかりやすく解説。売却時に必要な費用や税金の基礎を理解して、賢く住み替えできるようにプロがお伝えします。

西出 早希
【執筆・監修】西出 早希

現在会社員として住宅営業をしており、その過程でお客様への土地提案、プラン提案など行っています。

【保有資格】宅地建物取引士

どんなに気に入って購入したマンションでも、ライフスタイルの変化に伴い間取りや立地・広さなどが合わなくなることがあります。

そのような時は、買い替えを検討するタイミングではないでしょうか。

新型コロナウイルスの影響もあり、暮らし方や働き方などのライフスタイルに大きな変化が生じ、「広い家に住みたい」「毎日通勤しなくて良いなら郊外に引っ越したい」と考える人も増えています。

しかし、マイホームは気軽に買い換えられるものではありません。

マンションの買い替えは、売り・買いもタイミングをしっかり考える必要があります。

そこで今回は、マンションの買い替えの疑問や不安を解決すべく基礎知識をはじめ買い替えの進め方やタイミングをお話ししていきたいと思います。

この記事を読むとわかること
  • マンション買い替えのタイミングについて
  • 買い先行、売り先行について
  • マンションの買い替えで失敗しないためのポイント

マンション買い替えのタイミングとは

マンションの買い替えのタイミングは様々ですが、ライフスタイルの変化により不便を感じ、マイホームの住み替えを考え始めるケースが多いです。

住み替えた後の生活を想像し、住み替えを検討するきっかけになった不便さが解消できることを念頭に置いて買い替えを考えていきましょう。

ライフステージの変化

結婚や出産など、ライフスタイルに変化が生じると、それまでの立地条件や間取りに不満が出てくることがあります。

この「ライフスタイルに伴う住まいへの不満」は、マンションを買い替えるタイミングと考えられます。

結婚や出産のように「世帯人数が増えるから、より広い部屋に住み替えたい」というケースや、子どもの独立などで「世帯人数が減るから、もう少し狭くて便利な部屋に住み替えたい」というケースは、買い替えを検討するべきタイミングの代表的な例といえるでしょう。

一戸建てであれば、増築やリフォームで面積の変更は可能です。

しかし、マンションは、増築などによる面積の変更を伴う改修はできません。「もう少し広く」「もう少し狭く」といった希望がある場合、買い替えを視野に入れる必要があります。

他にも、「子どもの教育にお金をかけたいため、現在のローンの支払いをもう少しおさえたい」といった金銭的な理由で、マンションの買い替えを検討することもあるでしょう。

マンションの資産価値が下がりすぎないうちに手放して、より生活に余裕ができるマンションに買い替えることも解決策の一つです。

このように、世帯人数や金銭的な事情の変動などによる「ライフスタイルの変化」が生じたときは、購入から2、3年程度だったとしても、買い替えを検討するべきタイミングだといえます。

年齢

加齢に伴い、郊外のマンションが暮らしにくくなったり、通勤に便利なマンションが不要になったシニア層が住み替えを選択することもあります。

ライフスタイルや家族構成、生活状況などは人によって異なるため一概にはいえませんが、買い替えをするタイミングは50代後半という人が多いようです。

子どもの成長や定年退職などの理由が考えられますね。

マンションの築年数

マンションの築年数からも買い替えのタイミングを検討してみましょう。

マンションに住むと、毎月の返済以外に発生するのが管理費と修繕積立金。この修繕積立金は、築年数が経ち修繕工事が大規模になっていくほど毎月の積立金も値上がっていきます。

値上がりのタイミングは何度かありますが、築10年になると大幅に上がることが多いです。

そのため、新築や築浅で購入したマンションの場合、買い替えのひとつのタイミングとしては築9年頃に検討してみても良いでしょう。

また、構造によっても異なりますが、多くのマンションの法定耐用年数は築47年です。47年を過ぎると住めなくなるというわけではありませんが、法定耐用年数を過ぎると建物の資産価値はほぼゼロになると言われています。

戸建ての資産価値は土地と建物の価値が含まれますが、マンションの場合資産価値のほとんどが建物です。つまり、建物の資産価値がほぼゼロになってしまったら、マンションの資産価値も非常に低くなるということ。

古いマンションは売却にも時間がかかりますので、買い替えのちょうど良いタイミングとしては、築40年を過ぎたあたりから検討を始めた方が良いでしょう。

マンション買い替えは「売り先行」「買い先行」どちらがよい?

売却を優先するのが「売り先行」、購入を優先して進めるのが「買い先行」です。

通常は「売り先行」が安全で堅実なやり方ですが、「買い先行」は資金に余裕があれば、売れるのを待つ必要がなく住み替えたい物件が見つかったら、すぐに住み替えることができます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売り先行(売却先行)とは

「売り先行」は、マンションの売却先が決まってから、新居の購入を進める方法です。

現在のマンションを売却した代金を、残りの住宅ローンの返済に当て、余ったら新居の予算に使います。

「売り先行」では売却代金が確定してから新居を購入するので、予算オーバーすることもなく、堅実でわかりやすい方法です。

そのため、住宅ローンの残債が残っている場合や、初めてマンションを買い換える際には、売り先行のほうが堅実であると言われています。

「次の住まいが見つかる前にマンションを売出したら、住むところがなくなってしまうのでは?」と心配になるかもしれませんが、中古マンションを売りに出して、一瞬で売れてしまうケースはほぼありません。

通常、3ヶ月以内の売却を目標に物件の売出しを行うので、その間に次の物件の候補を絞っておきましょう。

マンションが売れるまでは新居の契約は出来ませんが、売却先が決まり次第すぐに購入を決断できるように物件を絞り込んでおけば、売るタイミングと買うタイミングをうまく合わせることができる可能性は残っています。

ただし、買い替えの新居が注文住宅などの場合、契約から引き渡しまでの期間が4ヶ月〜半年になることが多く、一定期間の仮住まいは覚悟しておいた方が良いでしょう。

売り先行のメリット

売り先行のメリットは次の通りです。

メリット

  • 住宅ローン残債があっても、マンション売却代金で相殺できる可能性がある
  • 現在のマンションの売却代金を新居の購入費用に使える
  • 売却代金から、新居の購入予算を明確に決められる

売り先行は、焦らずに売却できるので安く売り急いでしまう恐れがありません。

住宅ローン残債が残っている場合でも、「この金額以上で売る」と明確に金額を決めて売却活動をすれば、自己資金をローン返済に充てずに売却資金だけで賄うことは十分可能です。

また、マンションが実際に売れてから新居を購入するので、資金計画が立てやすいというメリットがあります。

売り先行のデメリット

売り先行のデメリットは次の通りです。

デメリット

  • 現在のマンションを引き渡すまでに引越し先が見つからない場合、賃貸物件などに仮住まいする必要がある
  • 仮住まいを避けようとして新しいマンションを買い急ぎてしまう

新居が決まるより先にマンションが売れてしまった場合、新居が決まるまでの間は賃貸等で仮住まいをしなくてはなりません。

そうすると引っ越しを2回しなければならないので手間や費用がかかります。

また、そうした仮住まいを避けるために新居選びを妥協してしまい、満足できない買い替えになってしまうケースもあります。

売り先行で進めていく場合、仮住まいは仕方ないものとして、満足のいく買い替えを行いましょう。

買い先行(購入先行)とは

「買い先行」は、新居の購入契約を結んでから、今のマンションを売りに出す方法です。

旧マンションの住宅ローンを完済済みで、新居で新たに住宅ローンを組もうと思っている人や、自己資金で現在のマンションのローンを完済できる人など、資金計画に余裕がある人に向いています。

また、現在のマンションの立地条件が良いなどすぐに買い手が見つかりそうな場合も、新居が決まったらすぐに売却することが可能なので、買い先行を選べます。

買い先行の場合は、次の住まいを妥協することなくじっくり検討できることがポイントです。

また、マンションは空室状態のほうが売れやすいという傾向もあります。

そのため、買い先行の場合は売却活動にかかる時間を短縮できる可能性もあります。

買い先行のメリット

買い先行のメリットは次の通りです。

メリット

  • じっくり新しいマンションを選べるので、ゆっくりと理想の新居を探せる
  • 仮住まいがいらないので引っ越しが一度ですみ、手間が少ない
  • 空室でマンションを売りに出せるので、内見を入れやすく早く売れやすい

買い先行は、じっくり次の住まいを検討できるだけではなく、次の住まいに引っ越してから売りに出すことができるので、仮住まいが必要ないこともポイントです。

また、不動産を売却するには買い手の内見が必須ですが、空室の状態であればいつ内見しに来ても問題ないため、早く売れることも多いです。

資金的に余裕がある方であれば、買い先行を視野に入れても良いでしょう。

買い先行のデメリット

買い先行のデメリットは次の通りです。

デメリット

  • マンションの売却価格が想定よりも安かった場合、資金計画が崩れる
  • 現在のマンションの売却が長引いた場合、ダブルローンの期間が発生する
  • マンションを売り急ぎ、売却代金が相場よりも安くなってしまうおそれがある

買い先行では、急いで購入しがちな売り先行とは異なり、売り急いでしまうケースが考えられます。

旧マンションと新居のダブルローンに苦しめられたり、急にお金が必要になった場合に早く手放したいがために、想定より低い金額で売却してしまうことがあるのです。

そのため、買い先行の場合は売り先行よりも様々なケースを想定して資金計画を組む必要があることに注意しましょう。

マンション買い替えでかかる税金や諸費用

マンション買い替えには、税金や諸費用がかかります。

税金には、条件を満たせば支払いが少なくなるものもありますし、諸費用も節約できる場合がありますので、ひとつずつ確認していきましょう。

売却時にかかる税金

印紙税

印紙税は、契約が成立した場合の売買契約において課税される税金のこと。印紙を購入して契約書に貼ることで、納税の証明となります。

印紙税は契約の金額によって税額が異なるため、次の表で確認しておきましょう。

売買金額 印紙税額
300万を超えて500万以下 2,000円
500万円を超えて1,000万円以下 10,000円
1,000万円を超えて5,000万円以下 20,000円

参考:印紙税の額


ただし、現在は建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置が適用されており、印紙税は以下の金額となります。

  • 300万円超500万円以下:1,000円
  • 500万円超1000万円以下:5,000円
  • 1,000万円超5000円以下:10,000円

※軽減税率は2014年から2024年3月31日まで適用となります。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、土地などの不動産を売却した際に得た利益に課される税金のこと。

利益に対して課税されるため、売却後に税額が決定します。このとき「譲渡所得」は「売却価格」から「取得費と譲渡費用を足した金額」を引いて求めます。

また、その不動産を長期(5年超)で所有しているかによっても譲渡所得税は異なります。所有期間が5年以下の短期譲渡の場合、所得税と住民税に課税される割合が大きくなります。

仮に、物件価格が1000万円の場合のシミュレーションをしてみます。

取得費は当時の取得額(※)もしくは取得額が不明の場合は取得価格の5%を取得費としてみなします。

※住宅・土地の購入の際にかかった費用(手数料を含む)、建築費用、住宅設備や改良にかかった費用などを合計したものです。住宅の場合にのみ、購入代金や建築費用から“減価償却費相当額”が差し引かれることになります。


譲渡所得
売却価格 10,000,000 円
合計(A) 10,000,000 円


譲渡費用
契約書印紙代 10,000円
司法書士登記費用 約 50,000円
仲介手数料 396,000円
その他、解体費用、測量費用など
合計(B) 456,000 円


「取得費(C):1000万円の5%=50万円」



譲渡所得税の計算

「課税譲渡所得額:A-(B+C)=9,044,000円(a)」


長期譲渡の場合(所有が5年超) 短期譲渡の場合(所有が5年以下)
所得税 (a)×15%=1,356,600円(b) (a)×30%=2,713,200円(b)
復興特別所得税 (b)×2.1%=28,488円 (b)×2.1%=28,488円
住民税 (a)×5%=452,200円 (a)×9%=813,960円
合計(A) 1,837,288円 3,555,648円

なお、上記はあくまで参考目安となり、正確な税額が知りたい場合は税理士かお近くの税務署窓口までお問合せください。

また、過去に利用した税制優遇によってはこの特別控除が受けられなかったり、マイホーム特別控除を利用すると住宅ローン控除など別の税制優遇が受けられなくなる場合がありますので、ご注意ください。

また、マンションの買い替えの場合はマイホームを売ることになるため、3000万円特別控除などの特例措置が受けられます。

参考:マイホームを売ったときの特例

購入時にかかる税金

印紙税

売却時と同様に、購入時の売買契約書は、印紙税法で定められた課税文書に該当するので印紙税が課税されます。

印紙税は売却と同様の税額になります。

登記費用

①所有権移転登記

不動産の売買をしたとき、買主の売買代金全額支払いと同時に、物件の所有権を買主名義に変更します。これを所有権移転といい、所有権の移転登記申請に要する登記費用は、買主の負担となります。

登記費用は、登録免許税という国税と司法書士への報酬を合わせた費用のことをいい、物件の引き渡し・残代金決済時に登録免許税と一緒に司法書士へ報酬を支払います。

②抵当権設定登記

住宅ローンを利用する場合、金融機関が購入する住宅を担保として、抵当権の設定登記をします。

登録免許税と司法書士への報酬を、物件の引き渡し・残代金決済時に支払います。

不動産取得税

土地や家屋の購入などで不動産を取得したときに、取得した所有者に対して課税される税金です。

一般的には、買い替え後、数ヶ月経って納税通知書が送られてくるので忘れずに納税しましょう。

固定資産税精算金

固定資産税清算金とは、不動産の売買をするときに、不動産にかかるその年の固定資産税や都市計画税を、所有日数に応じて買主が売主へ支払うお金のことです。

売主は、買主に物件を引渡す前日までの分の固定資産税を支払い、買主は、引渡し日から年末までの分の固定資産税を支払います。

基本的には、売主が1年分の固定資産税を先払いしていますので、買主は売買代金の残代金とともに、精算金を支払って精算します。

売却時にかかる諸費用

仲介手数料

中古物件を不動産会社を通して購入する場合は、売却と同様に購入する物件の売買金額の3%+6万円+消費税の仲介手数料がかかります。

仲介手数料は、受領できる手数料の上限が定められており、

  • 売買価格200万以下の部分:売買価格の5%以内
  • 売買価格200万を超え400万以下の部分:売買価格の4%以内
  • 売買価格400万を超える部分:取引額の3%以内

この計算式をもっと簡単にして仲介手数料を算出すると、

売主側が支払う仲介手数料は『売買代金×3%+6万円(税別)』が相場となります。

ローンの繰上げ手数料

金融機関や住宅ローンの種類によって金額は変わりますが、全額繰り上げ返済には手数料がかかります。

概算で数万円が相場となります。

抵当権抹消費用

不動産にローンがあったり、その不動産を担保に借入れしていると、不動産に抵当権が付記されていることがあります。

抵当権とは、ローンの借入先の銀行などが行使できる権利のことで、お金を借りた方がローンの返済できなくなった場合、抵当権を設定している銀行などがその不動産を担保に優先的に貸した金額を回収できます。

売買する際には、その抵当権抹消が一般的となります。

購入時にかかる諸費用

仲介手数料

中古物件を不動産会社を通して購入する場合は、売却と同様に購入する物件の売買金額の3%+6万円+消費税の仲介手数料がかかります。

火災保険料

住宅ローンを利用する際には、基本的に物件に火災保険を付保することが必須となっています。

加入する保険は、金融機関から提携の保険会社を紹介してもらうことも可能ですが、自分で選ぶこともできます。各社の火災保険を比較してより適したものを選びましょう。

ローン手数料

住宅ローンを借りる際に、融資手数料や保証がかかります。

融資手数料や保証料は、金融機関によって異なりますので、住宅ローンを検討するときに確認をしましょう。

マンション買い替えで失敗しないためのポイント

マンション買い替えでは、失敗しないために売却前・売却時・購入時でそれぞれ注意することがあります。

ポイントを解説しますので、確認していきましょう。

マンション売却前の注意点

売却相場を調べておく

マンション買い替えで失敗しないためには、マンションの売却前にご自身のマンションの売却相場を調べておく必要があります。

理由としては、マンションがどのくらいの期間で売却できるかやどのくらいの価格で売却できるかは、物件の売り出し価格に大きく左右されるためです。

ご自身の物件に適正な売り出し価格を設定しなければ、マンションの売却に想定以上の時間がかかってしまったり、結果的に相場を大きく下回る価格での売却となってしまい、マンション買い替えの資金計画が崩れてしまうリスクがあります。

そのため、マンション買い替えを行う場合には、まず初めにご自身の物件の売却相場をよく調べておきましょう。

物件の売却相場は、国土交通省の土地総合情報システムなどを使って、ご自身の物件に似た条件の物件がどのくらいの価格で取引されたのかを調べることができます。

自身で物件のおおよその売却相場が掴めたら、複数の不動産会社にマンション査定を依頼しましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼することで、1社の査定価格からは分からないご自身の物件のより正確な相場観を掴むことができます。

不動産会社は複数社を比較して選ぶ

マンションの買い替えでは、購入も売却も同一の「マンション売買に強い不動産会社」を選ぶことをお勧めします。

購入と売却で異なる不動産会社に仲介を委託してしまうと、連絡窓口が二つになってしまい、手続きややりとりが煩雑になってしまいます。

また、仮住まいの手配などの相談も、どちらにするべきか悩むことになってしまうでしょう。

マンション売買に強い不動産会社であれば、買い替えにも慣れており、「売り買いどちらを先に進めるか」といったプランニングも一括して引き受けてくれます。

「仮住まいを避けたい」「売却と購入の決済のタイミングを合わせたい」といった相談もできるため、売却と購入で別会社に頼むよりも、スムーズな進行が期待できます。

ただし、売却と購入でエリアが大幅に異なる場合は、不動産会社の得意とするエリアを事前にチェックしておきましょう。

全国に販売網を持つ会社なら問題ありませんが、特定のエリアのみに特化しているのであれば、売却と購入をそれぞれ別会社にした方が良い場合もあります。

買い替えの相談をするときに、エリアにおける取引実績などを、不動産会社に尋ねてみると良いでしょう。

マンション売却時の注意点

売り出し価格は少し高めに設定する

マンションの価格設定は、希望より少し高めに設定して売り出すのが良いでしょう。

査定額=売り出し価格と思われている方も多いですが、実は査定額は参考でしかなく最終的に売り出し価格を決めるのは売主です。

売り出し価格は査定額や希望売却額を基に算出しますが、この時売却希望額よりも少し高めに設定するのがポイント。

マンションに関わらず不動産の売買の場合、買主は最後に値引き交渉を行います。最初から売却希望額で売ってしまうと、値引き交渉に応じた際に最終的な売却価格は希望額より少なくなってしまいます。

万が一、売れない場合は値引きして再度販売活動を行うということもあるので、最初は価格を高めに設定しておくのが良いでしょう。

内覧時の清掃は完璧に

物件の売り出し価格を決めて実際に物件を売り出したら、本格的に売却活動がスタートしていきます。

マンション売却において、売却の成否を大きく左右するのはこの内覧です。

そのため、内覧の前の清掃はできるだけ完璧に行うようにしましょう。

内覧は買主の購入決定を左右する大事なポイント。特に同じマンション内で別部屋が売りに出される可能性があるマンションは室内の状態の良さが決め手になることもあります。

通常の清掃はもちろん、いらない物などはなるべく処分して部屋をスッキリとさせると良いでしょう。来客程度ならクローゼットに物を閉まってしまえば良いのですが、内覧の場合だとクローゼットを開けて中まで確認します。

また、忘れがちですがベランダもチェックする買主は多いです。排水溝にたまった枯れ葉や置きっぱなしにしているゴミなども捨てておくようにしましょう。

マンション購入時の注意点

購入マンションの修繕計画や管理状況を確認する

マンション買い替えを行う方の多くは、新居として新しく購入するマンションはできるだけ長く安心して生活できる物件を購入したいと考えています。

安心して住み続けられるマンションを選ぶには、管理状況がしっかりしているかを確認することが大切です。

マンションの管理状況をチェックするポイント

  • 修繕積立金が長期修繕計画に基づいて払われているか
  • マンションの共有スペースが手入れされているか
  • 居住者へのルールは適切か

中でも修繕積立金に関してはよく確認しておきましょう。

修繕積立金とは、共用部分の大規模修繕を行うための費用です。

マンションの壁や屋上、エントランスなどの共用部分の維持・修繕は、マンションの居住者全員から毎月予め決めておいた額を徴収して積み立てていきます。

この修繕積立金は、ローン返済以外に毎月支払っていかなくてはならない費用になるため、修繕積立金が負担になりすぎないかはしっかり確認しておきましょう。

さらに、この修繕積立金がどのような長期修繕計画に基づいて徴収されているのかなども確認することで、マンションの管理体制や長期修繕計画についてもチェックすることができます。

その他にも、マンションの手入れや清掃がきちんと行われているか、管理組合や管理会社が正常に機能しているかをよく確認しておくことで、購入後にトラブルになったり、後悔したりしてしまうリスクを抑えることができるでしょう。

購入マンションの耐震性を確認する

マンションを購入する際には、耐震性を確認しておくことも非常に重要です。

建物を建てる際には、現在の法律で定められた新耐震基準を守る必要があり、新耐震基準を守っている家であれば震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないように設計されています。

しかし、新耐震基準が適用される前の旧耐震基準の場合は少し強度が下がり、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しないという設計になっています。

1981年6月1日以降に建てられているものは新耐震基準が適用されています。購入を検討する物件は価格だけでなく、建築された年なども調べておきましょう。

ホームインスペクションを依頼する

購入を本格的に検討している物件があるのなら、ホームインスペクションをプロに依頼にするのも良いでしょう。

ホームインスペクションとは、住宅に欠損などがないか目視で行う調査のこと。プロである住宅診断士が第三者の立場から物件の調査を行います。

ホームインスペクションを行うことで、内覧などでは見つけられない屋根裏の状態や給湯器など住宅設備の確認も行ってくれるので、より安心して購入できるでしょう。

マンションでホームインスペクションを行う場合、共用部分となると管理組合の許可も必要となりますが、不動産会社に依頼するなどして交渉してみましょう。

マンションならおよそ2時間程度でおこなうことが可能です。

ただし、プロに依頼すると約5万円程度の費用が発生しますので、本当に購入したいと思った物件のみ行うようにした方が良いでしょう。

中古マンションのホームインスペクションでおすすめの業者を2社紹介しておきます。
さくら事務所
ホーミル

注意しておきたいのが、木造戸建と鉄筋コンクリートなどの中古マンションでは、ホームインスペクションの方法が少し異なるということ。

そのため、中古マンションのホームインスペクションの実績が豊富な会社がおすすめです。

購入マンションの値引き交渉を行う

マンションに限らず、不動産を購入する際は値引き交渉は忘れずに行うようにしましょう。

不動産の売買を行う際に価格交渉を行うのは一般的で、売主も販売価格に値引きする分を上乗せしてマンションを販売しているケースがほとんどです。

交渉すると、価格通りに値引いてくれるとは限りませんが値引いてくれる可能性はおおいにありますし、値引き交渉に承諾するのが難しい分、他の費用は持ってくれるということもあります。

ただし、あまりにも多額な値引きを要求した場合は売却そのものを断られる場合もありますので、どのくらいの値引き交渉なら妥当か?は不動産業者に相談してみることをおすすめします。

まとめ

今回は、マンションの買い替え基礎知識や買い替えの進め方、注意点などをお話しました。

マンションの買い替えは、売却と購入をほぼ同時に行うため、気をつけなければならないポイントがいくつもあります。

同時に考えてしまうと難しくなるかもしれませんが、売却は売却、購入は購入と別々に考えることでそれぞれ対処していくことが可能になります。

この記事では、それぞれのタイミングでのポイントを解説しましたので、ぜひ参考にしてくださいね。

  • ライフスタイルの変化や年齢、マンションの築年数など、マンションの買い替えにはいくつかのタイミングがある。
  • 買い先行、売り先行はそれぞれメリットとデメリットが存在するが、資金的に余裕がある方でなければ売り先行の方が堅実的。
  • 売却と購入を別々に考え、1つずつ落ちついて対処していくことが買い替え成功のポイント。

注目ワード

Top