【個人事業主向け】経費計上できる費用とは?不動産売却時の仕訳についてケースとともに徹底解説!

  【個人事業主向け】経費計上できる費用とは?不動産売却時の仕訳についてケースとともに徹底解説!

この記事では個人事業主の場合の不動産売却時の仕訳について解説していきます。法人の場合と勘定科目が異なりますので注意が必要なほか、税率の違いや売却日の決定など、細かい会計のルールにも触れていますので正しい知識で適切に会計処理をしていきましょう。

手塚 大輔
【執筆・監修】手塚 大輔

地方銀行に10年弱勤務した後、現在は飲食店を起業しており、プロのライターとしてもSEO記事、コピーライティングなどを行なっております。 銀行では、預金業務、カードローン、住宅ローン、企業の運転資金、設備資金、起業開業支援、保険販売、投資信託販売などの他、企業の決算書の審査など経験。

【保有資格】ファイナンシャルプランナー

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不動産を売却した場合には、正しく仕訳を行い適切な会計処理をしなければなりません。

しかし法人と個人では売却時の仕訳は異なるので、「どのように仕訳するのが正しいのかわからない」という個人事業主の方も多いのではないでしょうか?

正しく仕訳を行い、経費計上できる費用を正確に把握しないと税務調査などで指摘される可能性もあるので注意が必要です。

この記事では、個人事業主向けに不動産売却時の仕訳と経費にできる費用について、実際の仕訳例とともに解説していきます。

これから不動産売却を検討している個人事業主の方はぜひご覧ください。

不動産売却時の仕訳の5つのポイント

個人事業主が不動産を売却して、仕訳を行う際には次の5つのポイントを抑えておきましょう。

  • 勘定科目は「事業主貸」
  • 売却損益は簿価で計算する
  • 売却日は「契約日」か「引き渡し日」を選択可能
  • 土地売却は消費税非課税
  • 土地売却に付随する費用には消費税が課税される

勘定科目や売却日や売却損益の考え方、さらには消費税に対するルールをしっかり把握しておくことが重要です。

不動産売却時の仕訳に関する5つのポイントについて詳しく解説していきます。

①勘定科目は「事業主貸」「事業主借」

個人事業主が土地を売却した場合の勘定科目は「事業主貸」または「事業主借」です。

  • 利益が出た場合:事業主借
  • 損失が出た場合:事業主貸

という勘定科目を使用すると、覚えておきましょう。

法人の場合には「固定資産売却損(益)」などの勘定科目を使用するので、この点は非常に大きな違いです。

個人事業主が不動産を売却した場合、その所得は事業によって生じた所得ではなく、譲渡によって生じた所得である「譲渡所得」に該当します。

そのため、不動産を売却して利益が発生し「事業主借」を計上した場合には、事業所得として確定申告を行うのではなく、譲渡所得として事業所得とは別に所得と譲渡所得税を計算しましょう。

簡単に言えば、個人事業主が不動産を売却した場合には、個人が不動産を売却した時と同じ処理になります。

②売却損益は簿価で計算する

売却によっていくらの利益が出たのかは、簿価を基準にして計算します。

例えば、簿価1,000万円の不動産を1,500万円で売却した場合には、諸経費を考慮しなければ500万円の売却益となります。

売却時の時価が購入時の価格の簿価から乖離していようと、売却損益は「売却価格-簿価」で計算するようにしてください。

なお、建物を売却した場合には、減価償却後の価格が簿価になります。

そのため、減価償却後の残高が0円の建物を売却した場合には、売却価格がそのまま売却益となります。

③売却日は「契約日」か「引き渡し日」を選択可能

会計上、いつを売却日とするのかは「不動産売買契約の締結日」か「不動産の引き渡し日」を選択することが可能です。

計上する年が同じであれば、どちらの日付を選んでも特に大きな違いはありません。

しかし、契約日と引き渡し日で年が異なるのであれば、どちらの年に売却益を計上するのかによって受けられる控除や税制の特例などが異なることがあります。

どちらで譲渡所得を申告したらよいかを慎重に検討した上で、売却日を選びましょう。

④土地売却は消費税非課税

土地の売却に関しては消費税はかかりません。

一方、建物の売却には消費税がかかる場合があるので、不動産譲渡所得を計算する際には注意してください。

建物の消費税は状況に応じて変わる

不動産を売却した際、建物を売却する場合には消費税が課税される場合があります。

状況によって消費税がかかる場合とかからない場合があるので、次のように分類しておきましょう。

個人が売却した場合 非課税
個人が投資用物件を売却した場合 課税
法人が売却した場合 課税

個人が住み替え目的などで自宅を売却した場合、当該売却代金には消費税は課税されません。

しかし投資用マンションなどを個人が売却する場合や、法人が建物を売却する際には消費税が課税されます。

個人事業主の場合は「どんな物件を売却するのか」によって消費税課税の有無が変わるので注意してください。

⑤土地売却に付随する費用には消費税が課税される

土地の売却や、個人が個人用の建物を売却する場合には消費税は課税されません。

しかし売却に伴い発生する次のような費用には消費税は課税されます。

  • 不動産売却の仲介手数料
  • 司法書士への手数料
  • 融資の手続きでの手数料

不動産会社や司法書士などからは税込の金額が請求されますが、これらの費用は課税取引ですので請求書の内容が間違っているわけではありません。

課税されないのは、不動産そのものの売却代金に対してだけで、売却に伴う諸費用については消費税が課税されると理解しておきましょう。

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不動産売却時に経費にできる費用は主に次の5つです。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 抵当権抹消費用
  • 住宅ローン返済手数料
  • 固定資産税・都市計画税の精算金

それぞれの費用の意味と仕訳例をご紹介していきます。

仲介手数料

仲介手数料は不動産を売却した際に不動産会社へ支払う手数料のことです。

なお、仲介手数料の上限は次のように決められています。

売却金額 仲介手数料
200万円以下の部分 売買価格の5%+消費税
200万円超400万円以下の部分 売買価格の4%+消費税
400万円超の部分 売買価格の3%+消費税

不動産の価格が400万円超の場合は次の計算式に置き換えることも可能です。
売買価格×3%+6万円 + 消費税

例えば、2,000万円で不動産を売却した場合の仲介手数料の上限は66万円+消費税となります。

仲介手数料は経費計上でき、66万円の仲介手数料を不動産会社へ支払った場合の仕訳は次のようになります。

借方 貸方
支払手数料 66万円 普通預金 66万円

勘定科目は「支払手数料」を使用します。

なお、購入時に不動産会社へ支払った仲介手数料は不動産の取得価格に含まれているので、売却時に経費計上することはできません。

印紙税

不動産売買契約書には金額に応じた収入印紙を貼付しなければなりません。

印紙税の金額は次の通りです。

売却金額 収入印紙代
10万円以下 200円
10万円超50万円以下 400円
50万円超100万円以下 1,000円
100万円超500万円以下 2,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円
1億円超5億円以下 100,000円

2,000万円の不動産を売却したのであれば、売買契約書には20,000円の収入印紙の貼付が必要です。

収入印紙代は「租税公課」という勘定科目を使用して次のように仕訳を行います。

借方 貸方
租税公課 2万円 普通預金 2万円

抵当権抹消費用

ローンを利用して購入した不動産を売却する際には、ローン完済後に不動産に設定されている抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権抹消にかかる費用が登録免許税が1,000円、司法書士報酬が1万円、消費税1,000円、(源泉所得税1,000円)、謄本費用300円の場合、仕訳は次のようになります。

借方 貸方
租税公課 1,300円
支払手数料:11,000円
普通預金 11,300円
預り金 1,000円

司法書士へ代金を払う場合、代金の中から源泉所得税を控除して、「預り金」勘定として負債として計上しておきます。

住宅ローン返済手数料

不動産の売却代金で住宅ローンを繰り上げ返済する際に、繰り上げ返済手数料がかかることがあります。

この際の手数料は「支払手数料」という勘定科目を使用して次のように仕訳を行います。

借方 貸方
支払手数料 33,000円 普通預金 33,000円

固定資産税・都市計画税の精算金

固定資産税や都市計画税は1月1日時点の不動産の所有者が前払いして支払います。

そのため、不動産を年の途中で売却する際には、売却時に不動産の所有期間に応じて按分して精算するのが基本です。

精算して、買主から受け取った代金は「預り金」という感情科目を使用して会計処理を行います。

300万円の固定資産税の精算金を受け取った場合には、次のような仕訳を行います。

借方 貸方
普通預金 300万円 預り金 300万円

その後、固定資産税を支払った場合には、預り金を取り崩し次のような仕訳を行います。

固定資産税1,000万円を支払った。

借方 貸方
預り金 300万円
租税公課 700万円
普通預金 1,000万円

固定資産税も都市計画税も税金を支払ったら「租税公課」という勘定科目を使用すると理解しておきましょう。

その他の費用

不動産売却の際に発生するその他の費用として、測量費用・清掃費などが発生することがあります。

売却の際に、これらの費用を支払っている場合には「業務委託費」として次のように会計処理を行います。

測量費用・清掃費などで20万円を普通預金から支払った。

借方 貸方
業務委託費 20万円 普通預金 20万円

不動産売却時の仕訳

実際に不動産売却時の仕訳を事例とともに解説していきます。

仕訳の方法は土地の売却、土地+建物の売却、売却損が出た場合、売却益が出た場合によって異なるので、それぞれのケースで詳しく見ていきましょう。

土地売却によって利益が出た時の仕訳

土地売却によって利益が出た場合には次のように仕訳を行います。

簿価1,000万円の土地を1,200万円で売却した。

借方 貸方
普通預金 1,200万円 土地 1,000万円
事業主借 200万円

事業用ではない自家用不動産を売却する場合には、特に仕訳を行う必要はありません。

土地売却によって損失が出た時の仕訳

土地売却によって損失が出た場合は「事業主貸」の勘定科目を使用して次のように仕訳を行います。

簿価1,000万円の土地を800万円で売却した

借方 貸方
普通預金 800万円
事業主貸 200万円
土地 1,000万円

土地+建物売却によって利益が出た時の仕訳

土地と建物の両方を売却して利益が出た場合は、建物の売却代金に消費税が課税されることに注意しなければなりません。

簿価1,000万円の土地を1,200万円で、簿価2,000万円の建物を税抜2,500万円で売却した。

借方 貸方
普通預金 3,950万円 土地 1,000万円
建物 2,000万円
事業主借 700万円
仮受消費税 250万円

消費税については「仮受消費税」という勘定科目を使用して、預かった消費税を別途管理しておきます。

土地+建物売却によって損失が出た時の仕訳

土地と建物を一緒に売却して損失が出た場合の仕訳は次のようになります。

簿価1,000万円の土地を800万円で、簿価2,000万円の建物を税抜1,800万円で売却した。

借方 貸方
普通預金 3,180万円
事業主貸 400万円
土地 1,000万円
建物 2,000万円
仮受消費税 180万円

損失が出た場合も建物に対する売価には消費税がかかるので、消費税について損失が出ていたとしても仮受消費税として処理します。

土地に利益が出て、建物に損失が出た時の仕訳

土地と建物を同時に売却して、土地には利益が出たにも関わらず、建物分の売却に関しては次のような仕訳になります。

簿価1,000万円の土地を1,200万円で、簿価2,000万円の建物を税抜1,900万円で売却した。

借方 貸方
普通預金 3,290万円
事業主貸 100万円
土地 1,000万円
建物 2,000万円
仮受消費税 190万円
事業主借 200万円

事業主貸と事業主借をそれぞれ別の勘定科目に計上し、建物分の売上に関しては消費税を「仮受消費税」に計上します。

不動産売却時に手付金を受け取った場合の仕訳は?

売却時に手付金を受け取った際には「前受金」という勘定科目を使用します。

不動産売却代金のうち手付金500万円を受け取った

借方 貸方
普通預金 500万円 前受金 500万円

残りの代金1,500万円を受け取り、2,000万円の土地を引き渡した

借方 貸方
前受金 500万円
普通預金 1,500万円
土地 2,000万円

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不動産売却の仕訳における注意点

不動産売却時の仕訳を行う際には次の2つの点に注意してください。

  • 経費の領収書は保管する
  • 個人事業主や保有期間によって税率が変わる

経費の領収書は保管する

経費の領収書は必ず保管しておくようにしてください。

所得税法では、青色申告の場合領収書については7年間の保存年限が定められています。

領収書等を7年間保存することは、青色申告を行う人の義務ですので、必ず保管するようにしてください。

個人事業主や保有期間によって税率が変わる

個人事業主が個人の用途によって売却する場合には、譲渡所得となるので次のように保有期間によって税率が変わります。

所有期間が5年以下の場合には、税率が高くなってしまうため注意してください。

所有期間 5年以下 5年超 10年超
所有軽減税率の特例
居住用 39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%)
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%)
①課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%(所得税10.21%・住民税4%)
②課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315%(所得税15.315%・住民税5%)
非居住用 39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%)
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%)
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%)

まとめ

不動産を売却した際、利益が出た場合には「事業主借」、損失が出た場合は「事業主貸」という勘定科目を使用します。

また、個人事業主の場合、個人で個人用の建物を売却した場合には消費税はかかりませんが、個人事業主が投資用の建物を売却する場合には消費税が課税されます。

法人が不動産を売却した場合と、個人事業主が不動産を売却した場合には仕訳や会計処理が特殊です。

正しい会計処理をよく理解して、正しく仕訳を行いましょう。

参考:不動産を売却した時の仕訳方法とは?経費計上できる費用と会計処理における注意点
【見本付】不動産売却時の仕訳ルール5つとパターンをやさしく解説
三井のリハウス_税額の計算方法

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