戸建て住宅が売れないときの原因・対策・やってはいけないことは?

  戸建て住宅が売れないときの原因・対策・やってはいけないことは?

所持している戸建てを売りたいと思っていてもなかなか思った通りの値段や期間で売れない。そんなお悩みを持った方に向けて本記事では、売却できない要因と詳しい対策方法をご紹介していきます。

濱田 真理
【執筆・監修】濱田 真理

光回線のオペレーターの傍ら、WEBライターをしています。 通信系ライター時代にSEOについてのライティングを身に着け、以降宅地建物取引士の資格を活かして不動産系SEOライターをしております。 クライアント様には、毎回ほぼ修正なしで高品質の記事を納品できる点を高く評価いただいています。 分かりやすい解説と確かなエビデンスにより、信頼される記事の執筆が可能です。

【保有資格】宅地建物取引士

「戸建て住宅を早く売りたいが、なかなか売れない」

「戸建て住宅が売れない原因を知りたい」

「築年数が古い戸建て住宅でも売れる?」

戸建て住宅を売りたい方の中には、そんな疑問や不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

戸建て住宅がなかなか売れない場合、必ずなんらかの原因が存在します。

この記事では中古の戸建て住宅が売れない原因と対策、決してやってはいけないことについて解説します。

最後まで読めば、何が原因で売れなかったのかと、どうすれば売れるようになるかがわかります。

戸建て住宅が売れない3つの大きな原因

中古の戸建て住宅が売れるまでの平均期間は、3~6カ月というのが一般的です。

それ以上かかっても売れないとき、考えられる大きな原因は、以下の3つです。

  • 建物に問題
  • 立地に問題
  • 建物・立地以外

次章から、戸建ての中古住宅が売れない原因と、その対策について詳しく解説していきます。

戸建て住宅が売れない原因と対策1 建物

戸建ての中古住宅が売れない場合、建物が原因で売れない具体的な問題点は以下の4点です。

  • 築年数が古い
  • メンテナンスしていない
  • 間取りや土地の形状が悪い
  • 訳あり物件

それぞれの問題点と対策を解説します。

築年数が古い

戸建ての中古住宅が売れない一番多い原因は、建物の築年数が古いことです。

築年数が古いと、購入後のメンテナンスにどれくらいの費用がかかるかわからない点も、売れない原因になります。

また築年数が古いと、購入者は住宅ローン控除を受けられなかったり、住宅ローンそのものが組めなかったりする場合があります。

ほとんどの購入希望者は住宅ローンを組みたいし、出来れば税制対策もしたいと考えているため、築年数がネックになるのです。

対策

さらにホームインスペクションで合格すれば、瑕疵(かし)担保保険に加入可能です。

瑕疵担保保険つき物件を購入すると、住宅ローン控除を受けられるため、物件の価値を高められます。

瑕疵担保保険

瑕疵担保保険の瑕疵(かし)とは、土地や建物の欠陥や不具合のことです。
瑕疵担保保険に加入していると、売却後に瑕疵が見つかった場合、補修費用の一部を保険で賄えます。

メンテナンスしていない

築年数に関わらず傷みが激しい中古住宅は、築年数以上に古く感じて敬遠されがちです。

住宅はこまめにメンテナンスしないと、瑕疵(欠陥)部分から劣化が進行し、修繕費用が高額になります。

対策

  • 住宅は空き家状態が長いと徐々に劣化しますが、時々空気の入れ替えをしたり、小さな痛みに気づいたらこまめに修繕したりするといった定期的メンテナンスで良い状態を保てます。
    既に大きな瑕疵がある場合は、大規模な修繕をせず、その分値引きして売るほうが得策です。
    多くの購入希望者は、中古住宅の購入後のリフォーム・修繕を前提にしているからです。

間取りや土地の形状が悪い

間取りや土地の形状の問題とは具体的に、以下のようなものが考えられます。

  • 敷地が狭すぎる
  • 建物に対して敷地が広すぎる
  • いびつな間取りで個性が強い
  • 急斜面に建っている
  • 増改築を繰り返して違法建築になっている(=住宅ローンが組めない)

対策

  • 個性的で売れにくい中古住宅も、以下のような対策で売れやすくなる場合があります。
    狭すぎる 隣地を買い足して広くする事務所やセカンドハウスとして賃貸にする
    広すぎる 企業・外国人・投資家に売却または賃貸で提案する土地を分割して売る・土地だけの部分は駐車場など再利用する
    いびつな間取り リフォームOKやペットOKの賃貸にする
    ガーデニングや走り回る子供がいてマンションより戸建てを希望している人に向けて販売する
    急斜面 相場より安い家賃で賃貸にする
    眺望が良い点などをアピールして販売する
    増改築の繰り返しで違法建築になっている 違法建築にならない程度に修繕する
    違法建築である(=住宅ローンが組めない)ことを明示して安く売る
    賃貸にする

賃貸にするというのは利益を作る手段であって、売るための対策ではありません。

修繕費をかけて賃貸に出しても、借り手がつかなければ、維持費や修繕費がかかるばかりでかえってマイナスになるので、注意が必要です。

訳あり物件

訳あり物件とは、具体的に以下のようなものがあります。

  • ゴミ問題
  • 騒音トラブル
  • 自殺や事故の現場
  • 近隣に反社会的勢力の事務所がある

対策

  • 事実をありのまま正確に説明したほうが、売主として誠実です。
    万が一隠して売った後事実が判明した場合、建物自体に瑕疵(欠陥)がなくても、事故物件は心理的瑕疵に該当するため、瑕疵担保責任を追及されかねません。
    またどうしても売れない場合、通常の3割程度安くなりますが、不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。

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戸建て住宅が売れない原因と対策2 立地

戸建ての中古住宅が売れない場合、立地が原因で売れない具体的な問題点は以下の2点です。

  • 駅から遠い
  • 不人気エリア

それぞれの問題点と対策を解説します。

駅から遠い

購入者からすると駅から徒歩15分圏内が理想ですが、そもそも多くの戸建て住宅は郊外にあります。

駅周辺よりも静かで、土地に係る費用負担が少なく、緑豊かなど住環境が良いことが多いからです。

対策

  • 以下のようなアピールポイントを探して、その地域特有の価値をアピールしましょう。
    ・道幅が広く自転車にも安全
    ・バスの本数が多い
    ・校区がよい
    ・スーパーやコンビニが近い
    ・ガーデニングに最適な庭がある
    ・自然豊か

不人気エリア

不人気エリアとは具体的に、以下のような点が該当します。

  • 工場や空港が近く騒音がひどい
  • スーパーなど商業施設がない
  • 携帯電波が届きにくい
  • 学校が遠い

対策

  • その地域に詳しい不動産会社に依頼したり、地域住人からの意見を聞いたりして、その地域ならではの良さをアピールしましょう。
    リフォームOKやペットOKで、相場より安い借家として貸し出せば、空き家にしておくより家が痛まなくて済むうえ、管理費は所得税の控除対象になります。

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戸建て住宅が売れない原因と対策3 建物・立地以外

戸建ての中古住宅が売れない場合、建物や立地以外が原因で売れない具体的な問題点は以下の4点です。

  • 不動産会社に問題がある
  • 内覧会の対応が悪い
  • 売値が高い
  • タイミングが悪い

それぞれの問題点と対策を解説します。

不動産会社に問題がある

家を売却・購入・賃貸などするとき、ほとんどの場合不動産会社に仲介してもらいます。

不動産会社との間に交わされる契約を媒介契約といい、売却する際には以下の3種類の契約形態があります。

  複数社との契約 自己発見取引※1 レインズ※2への登録 業務状況の報告 契約の有効期間
専属専任媒介契約 × × 5営業日以内 1回/1週間 3カ月
専任媒介契約 × 7営業日以内 1回/2週間 3カ月
一般媒介契約 任意 任意 任意

※1 自己発見取引:自分で見つけた買主と直接売買すること

※2 レインズ:国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム

専属専任媒介契約や専任媒介契約を結んでいる場合、その不動産会社が販売活動を誠実に行わない、もしくは販売の力不足の場合、なかなか売れません。

また悪質な不動産会社は「囲い込み」と呼ばれる方法で、他の不動産会社を排除しようとします。

いっぽう一般媒介契約は、どの不動産会社でも買手を見つけられる反面、売主側の不動産会社は積極的に販売活動をしないケースもあります。

対策

  • 媒介契約は3カ月が有効期限のため、期限内に販売活動を積極的にしていないと判断した場合は、他の不動産会社に乗り換えられます。
    媒介契約をどこと結ぶかは、複数の会社から話を聞いてから決めましょう。

内覧会の対応が悪い

内覧会とは、購入希望者が実際に物件を見ることで、内覧もしくは内見とも呼ばれます。

売主が住んでいるところを、購入希望者が実際に見る場合と、空き家になっている物件を見る場合があります。

いずれにせよ、購入希望者が実際に内覧を行った際、水回りや建物が汚れていたり、室内が散らかったままだったりすると、購入希望者が中古物件と承知していても、良い印象を抱きません。

対策

  • 内覧会の前には、必ず室内の整理整頓をしたり、水回りなどのハウスクリーニングを依頼したりして、なるべく好印象を抱いてもらえるよう工夫しましょう。
    空き家の内覧会の場合、不動産会社によっては、照明や家具を配置して、購入後の暮らしをイメージしやすく演出する「ホームステージング」を提案してくれます。
    ハウスクリーニングもホームステージングも費用がかかりますが、早く売るための必要経費と捉えることも重要です。

売値が高い

購入希望者は、さまざまな物件を見たり調べたりして相場感がよくわかっているため、相場より高い価格だと、なかなか売れません。

不動産会社が提案した売出価格を鵜呑みにして、あるいはプロのアドバイスに従わず自分が希望する売値で売り出すと、購入希望リストから除外されてしまいます。

購入者にとって、購入の決め手の第一位は「価格」なのです。

物件選択における優先順位

引用:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会|土地・住宅に関する消費者アンケート調査

対策

  • 売主自身も不動産検索サイトをチェックして相場を把握し、適正価格で売り出すことが重要です。
    すでに売り出し中の物件の場合、購入希望者から「売れ残っているから値下げした」と思われないためにも、不動産会社とよく相談して、価格変更のタイミングや値下げ額を決めましょう。

タイミングが悪い

住宅が売れにくい時期は、1月8月と言われています。

1月は正月休み、8月はお盆休みがあり、年間を通してみると不動産会社も営業日数が少ない月です。

そのうえ1月は寒く8月は暑いため、購入希望者は内覧会に行くのがおっくうになりがち。

この時期が売り出しのタイミングだと、そのまま売れにくくなってしまう可能性があります。

対策

  • 4月の進学・転勤シーズン前のため、2月3月は住宅が売れやすいタイミングです。
    この時期に売り出しを開始すると、購入希望者からの反響につながる可能性が高まります。
    すでに売り出し中の場合は、2月3月に広告を打つよう不動産会社に相談してみましょう。

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戸建て住宅が売れないときにやってはいけない3つのこと

売り出してから時間が経過すると、いろいろな策を講じたくなりますが、多くの場合以下の3点はやってはいけません。

  • 大規模なリフォーム
  • 空き家のままにする
  • 建物を解体する

それぞれ解説します。

大規模なリフォーム

建物の劣化部分だけを修繕するのは良いのですが、大規模なリフォームは避けましょう。

以下の図からもわかるように、大規模リフォームは多額の費用がかかります。

リフォーム時の予算・費用

引用:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会|住宅リフォームに関する消費者実態調査

しかしこの費用を販売価格に上乗せできないばかりか、売れなければさらに値下げすることになりかねません。

また中古住宅の購入希望者は、購入後にリフォームすることを前提で購入を検討しています。

購入者の好みにリフォームできるとは限りませんから、リフォームする分を値下げするほうが売れやすくなる可能性があります。

空き家のままにする

家は空き家のままにしておくと、以下のようなものが原因で劣化が進みます。

  • カビの大量発生
  • ネズミ・ゴキブリ・猫・イタチなどの害獣・害虫被害
  • 雨漏り
  • 排水管から来るヘドロの悪臭

家は人が毎日換気したり、上下水道を利用したりすることによって、空気や水が循環しています。

人が住んでいることで、害獣害虫被害も家の劣化も防げるので、なるべく空き家にしないことをおすすめします。

建物を解体する

あまりに古い建物は、解体して更地にしたほうが資産価値が上がるのではないかと考えがちですが、解体はおすすめしません。

古くても家が残っていれば固定資産税や都市計画税が安くなる「住宅用地の特例」が利用できるからです。

もし建物を解体してしまうとこの特例が利用できず、固定資産税率は最大6倍、都市計画税率は3倍に跳ね上がります。

住宅用地の特例率

引用:大阪市|住宅用地の課税標準の特例措置

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まとめ

中古の戸建て住宅が売れない原因は建物・立地とそれ以外の3つがあります。

それぞれの具体的な原因は以下の通りです。

建物が原因
A 建物の築年数が古い
B 建物のメンテナンスが悪い
C 建物の間取りや土地の形状に問題がある
D 訳あり物件

立地が原因
E 立地が駅から遠い
F 立地が不人気エリア

建物・立地以外が原因
G 不動産会社に問題がある
H 内覧会の対応が悪い
I 売値が高い
J タイミングが悪い

それぞれの対策は以下の通りです。

A:ホームインスペクションの実施
B:定期的メンテナンス・大きな瑕疵がある場合は大規模修繕せずその分値引きする
C:状況によって売り方を変える・賃貸にする・不動産会社に買い取りしてもらう
D:事実は正確に伝える・不動産会社に買い取りしてもらう
E:アピールポイントを訴求する
F:地域に詳しい不動産会社に依頼する・リフォームOKなどで相場より安く賃貸にする
G:不動産会社を替える
H:整理整頓する・ハウスクリーニングやホームステージングを利用する
I:適正な相場価格で販売する
J:2月3月に売り出す・広告・キャンペーンを打つ

なかなか売れなくても、以下の3つはやってはいけません。

  • 大規模なリフォーム:高額な費用が発生する
  • 空き家のままにする:劣化が進む
  • 建物を解体する:固定資産税・都市計画税率が最大6倍になる

中古の戸建て住宅は、少子高齢化の影響もあり、ニーズは年々減少傾向です。

しかし不動産会社のプロの手にかかれば、3カ月〜6カ月で売れたという事例はたくさんあります。

実績のある良い不動産会社を見極めて、正しい情報と手厚いサービスを提供してくれる担当者と出会うことが大切です。

この記事が、ご自身の戸建て住宅が早く売れるための参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考:今売っている一戸建てが売れない10の理由と売れるための対策|不動産売却HOME4U

参考:戸建てが売れない9つの理由と売れるための対策を徹底解説!

参考:一戸建ての売却は難しい?売れない原因と対策方法を解説 | 不動産売却 | コラム | 東急株式会社 住まいと暮らしのコンシェルジュ

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