知らないと損!?不動産売却時の仲介手数料を安く済ませる方法とは

  知らないと損!?不動産売却時の仲介手数料を安く済ませる方法とは

不動産売却の簡易査定後に信頼できる仲介業者を探している方へ。仲介手数料安くできる具体的な方法や値引きによるリスク、仲介手数料をムダに多く払わないで済む手段を詳しく説明します。

西出 早希
【執筆・監修】西出 早希

現在会社員として住宅営業をしており、その過程でお客様への土地提案、プラン提案など行っています。

【保有資格】宅地建物取引士

今回は不動産売却時の仲介手数料を安く済ませる方法についてみていきましょう。

不動産の売買には専門的知識が必要になるため、不動産業者を利用することがほとんど。

その際には仲介した報酬として、仲介手数料を支払う必要があります。

ここでは、仲介手数料の仕組みや相場、具体的に安くする方法をまとめていますので参考にしてみてください。

不動産売買にかかる仲介手数料とは

不動産を売却した場合、売った金額すべてが手元に残るわけではなく、売却にかかる諸費用が必要です。

その諸費用のひとつが仲介手数料です。

不動産を売ったり買ったり、貸したり借りたりする場合にも買主(借主)と売主(貸主)どちらの立場でもかかってくる仲介手数料。

では、仲介手数料とは具体的に何の費用なのでしょうか?わかりやすく説明していきます。

不動産売買の成功報酬

仲介手数料とは、マンションの売買やアパートの賃貸などの取引を行う際に契約を結び、売りたい人(貸したい人)と買いたい人(借りたい人)の間に入り契約を成立させた場合の成功報酬のこと。

不動産の売買や賃貸の取引のことを『宅地建物取引』といい、他人の土地を売買したり賃貸したりする取引業務に関しては【宅地建物取引業法】の法律でルールが定められています。

宅地建物取引に関してはトラブル防止のため、宅地建物取引士の免許を持った専門家しか取引業務を行うことができないのです。

仲介手数料は依頼した時点では手数料は発生せず、契約が成立した場合に請求されます。

手続代行費用

宅地建物取引士は、取引業務を円滑に行うために「契約書の作成、記名押印」及び「重要事項の説明」を行います。

特に「重要事項の説明」に関してはとても重要で、買主が該当不動産を購入するにあたって知っておかなければいけないことを説明します。

都市計画、水道、ハザードマップの有無、・・・これらを買主に説明するための調査費用も含まれています。

仲介手数料の相場

仲介手数料は、前述した「宅地建物取引業法」という法律によって、受領できる手数料の上限が定められています。

  • 売買価格200万以下の部分:売買価格の5%以内
  • 売買価格200万を超え400万以下の部分:売買価格の4%以内
  • 売買価格400万を超える部分:取引額の3%以内

しかしこれでは、200万円を超えた物件を購入した場合は計算が複雑になってしまいます。

より簡単な計算方法として以下の計算式があります。

売買代金 × 3% + 6万円(税別)

よって、売主側が支払う仲介手数料は『売買代金×3%+6万円(税別)』が相場となります。

不動産売却の流れ

実際に仲介手数料を支払うタイミングや、不動産売却の過程を知っておくことは、不動産売却で損をしないためにも重要です。

不動産売却は、売主だけではなく買主や仲介業者がいて成立するものです。

ここでは、それぞれの役割も含めてみていきましょう。

仲介の種類

不動産会社に仲介を依頼するときには、契約には3つの形式があります。

専属専任媒介契約
  • 依頼した1社以外とは契約できない
  • 自分で買い手を探すのはNG
専属媒介契約
  • 依頼した1社以外とは契約できない
  • 自分で買い手を探すのはOK
一般媒介契約
  • 依頼した1社以外とも契約可能
  • 自分で買い手を探すのもOK

一般媒介契約が売り手にとって一番自由で制限がなくてと思われるかもしれませんが、もちろんデメリットもあります。

一般的に不動産業者は、専属契約(専属専任も含む)であれば自社の取り分が守られるため、一生懸命売却しようとします。

一般媒介契約の場合、売り手側はどの業者とも契約できるため、業者的には「他社で成約になる可能性が高い」と思うと、積極的に売却を行わない場合もあるのです。

人気の高いエリアであればほっといても成約になる確率は高いですが、少しニッチな場所や建築が制限される(敷地が小さい、崖地である、等)場合は業者の紹介がないとなかなか成約にならないことも。

そのため専属契約を結ぶのが、売り手と不動産業者にとってもwin winな結果になる可能性が高いのです。

ただし、専属契約を結ぶ際は不動産業者の選定が重要になります。

こちらは不動産売却の流れを確認しながら説明していきます。

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不動産売却の流れ

不動産売却の流れを見ていきましょう。

不動産取引は、売主-不動産業者(売主側)-不動産業者(買主側)-買主でそれぞれ役割が違います。

不動産業者は売主側と買主側両方を兼ねる場合もあり、その場合は双方から仲介手数料を受け取ることができます。

STEP 1.査定(売主)

不動産売却をするためには、売主から不動産仲介業者への依頼が必要です。

依頼は無料なので、数社へ一括査定を依頼して対応がいい業者を選ぶのもひとつの手です。

今の時代、インターネットから簡単に一括査定ができます。

ただし、高い金額を出してくれるからと言ってその業者を選ぶのはNG。

その理由は、売却金額はあくまでも売主の希望額であって、買い手が付く金額(実際に売却できる価格)とは限りません。

仲介業者が査定の金額を高く出したからといって、その金額で売却できるかは分からないのです。

また、査定はしっかり現地を確認してくれる地元に強い業者だと安心です。

グーグルマップやストリートビューでだいたいの位置関係や雰囲気はわかりますが、道路との高低差があったり日当たりの良さなどは現地に行ってみて改めて感じることもあるでしょう。

現地に訪問されたくない、近隣住民に売却を知られたくない等の理由がある場合は、その旨を記載しておけば問題ないです。

不動産売却は売主に寄り添ってくれる業者である方が、結果的に高く売却できたり、満足度の高い取引になるということですね。

STEP 2.媒介契約

依頼する不動産業者を選定したら、媒介契約を結びます。

前述したとおり、一般媒介ですと2社以上の業者と契約を結べますし、専属契約ですと1社のみとの契約になります。

ただ、いくつもの業者と契約を結ぶと、業者とのやりとりが大変になってしまいます。

信頼できる業者を1社にしぼり、その業者を窓口にすると良いでしょう。

2.5物件調査(売主側の不動産業者)

不動産業者は不動産を売却するため、必要な項目を調査します。

物件の価格の相場も教えてくれるので、参考にすると良いでしょう。

マンションの場合は、現状使える設備を確認し、破損や故障しているものがないかチェックします。

故障しているものがある場合は修理して引き渡すのか、そのまま引き渡すのか細かく希望を伝えることが必要です。

一戸建ての場合、中古住宅として売り出すことも考えられますが、中古住宅の場合は現況渡しがほとんどですのでマンションの場合とほぼ同じ。

現状をチェックして引き渡すものを整理します。また、個人間売買の場合は任意になりますが、瑕疵保険の付保を選択できます。

瑕疵保険

瑕疵保険というものをご存じでしょうか?

瑕疵保険とは、住宅の買主を守るための保険のことで、家の中の見えない部分の瑕疵(欠陥など)に対する修補費用やその工事に付随する手続き費用や仮住まい費用等の保険金が支払われます。

瑕疵保険は主に新築住宅の場合、付保することが義務付けられていますが、中古住宅では任意の保険です。しかし、引き渡し後に欠陥が見つかった場合でも保険金が支払われるため、買主にとってはメリットが大きいです。また、住宅ローン控除等の様々な税制優遇が受けられます。

いくつも同じエリアで中古住宅が販売されている場合、瑕疵保険の有無も購入の決定打になるかもしれませんね。中古住宅の瑕疵保険(既存住宅売買瑕疵保険)を検討したい場合は、売却を依頼する不動産業者へ相談してみましょう。

また、住宅があまり住めるような状態ではない場合は、一般的には解体更地渡し(解体費用は売主負担)の方が買い手がつきやすいです。

更地や農地(田/畑)の場合、そもそも家が建てられるかどうかを確認する必要があります。

市街化区域の場合は専用住宅であれば建築できますが、市街化調整区域に位置する場合は要注意。農業従事者であることが条件など、建築できる人が制限される場合もあるのです。

STEP 3.広告(売主側の不動産業者)

依頼する業者を決定して媒介契約を結ぶと、仲介業者はその不動産を成約させるためにハウスメーカーに不動産情報を送ったり、ポータルサイトに掲載したりします。

ハウスメーカーに情報を送るのは、その不動産が住宅を建てられる土地である場合はハウスメーカー経由の方が成約になる確率が高いからです。

土地によってさまざまな制約がある場合があるため、なるべく経験豊富な業者にお願いするのが賢明ですね。

STEP 4.物件案内(買主側の不動産業者)

購入を検討している方がいれば、物件を案内して購入を促すことも不動産業者の仕事のひとつです。

実際に現地を案内したり、その不動産の概要を説明します。

STEP 5.売買条件の交渉(買主⇄売主)

購入を希望する場合、買主は不動産業者へ『買付証明書』を提出します。

買付証明書には、買主の氏名・住所、希望価格や契約希望日を記載します。

物件価格を売主の希望価格より安くしたい場合、この買付証明書に記載して交渉するのです。

売主側は値下げの余地がある場合、買主の希望価格で売却するかどうかを決定します。

値下げには応じるけどこの価格まで、と言った伝え方をするのも良いと思います。

STEP 6.契約、重要事項説明

価格や条件の交渉が完了して双方が合意すれば、物件の契約です。

契約は売主と買主が立ち会う場合もありますし、都合がつかない場合は順に押印して契約を成立させる場合もあります。

また契約前には、不動産業者は『重要事項説明』を買主側へしなければなりません。

これも仲介の重要な仕事のひとつで、重要事項説明は国家資格である宅地建物取引士の資格を持った者でなければできないルールになっています。

STEP 7.境界確定、解体

引渡し後の周囲とのトラブルを避けるためにも、隣地や道路との境界確定は必須です。

土地家屋調査士と呼ばれる専門家の立ち会いのもと、隣地所有者や道路管理者との境界確定を行います。

また、引渡しに解体更地渡しの条件が付加している場合には、引渡し前に解体作業を行います。

STEP 8.引き渡し

一般的には契約をしてから2ヶ月後、物件の引渡しを行います。

引渡しは、物件の所有権移転(売主側)とお金の決済(買主側)を同時に行います。

これは、所有権移転したけどお金が支払われなかったりすることや、お金は支払ったけど所有権が移転されないといったトラブルを防ぐため、ほとんどの場合は同日に行われます。

所有権移転は法務局へ行って手続きする必要があるので、平日行われます。

手数料に含まれているもの

不動産売却の際に支払う仲介手数料ですが、どんなものが含まれているのか確認しておきましょう。
不動産業者が売主から不動産売却の仲介を依頼された場合、その業務を行うために発生する費用は仲介手数料に含まれていることになります。

具体的には、不動産売却のために行われる広告の作成費用やチラシ等の配布費用、購入を検討されている方を現地に案内するためにかかる費用等は、売買契約が成立した時に支払う仲介手数料に含まれています。

以下の費用は仲介手数料に含まれています。

  • 広告費用
  • 物件案内
  • 不動産の登記・権利情報調査(登記簿謄本の取得費)
  • 重要事項説明書の作成
  • 売買契約書の作成
  • 重要事項説明と契約締結
  • 引渡し時までの必要書類準備
  • 支払い手続き

ただし、依頼内容が通常の業務の範囲を超えた場合などは不動産業者は実費を請求することが可能です。

通常の業務の範囲内か、ほかに費用が発生しないかは業者に確認しておきましょう。

仲介手数料を具体的に安くする方法

不動産に売却にはいくつもの段階があり、買い手が決まってからも約2カ月かかります。

なかなか不動産が売却できない場合は、不動産業者とは長いお付き合いになる場合も。

では、具体的に安くする方法について見ていきましょう。

不動産業者の選定

仲介手数料をなるべく安くしたい場合は、業者を選定する際に「仲介手数料の値引き」を表明している不動産業者を探すのが手っ取り早いです。

値引きをしている不動産業者の目的としては、なるべくたくさんの依頼を受けて取引数を増やすことです。

安さを求める場合はそういった業者を利用するのもよいでしょう。

ただし、取引数が多いということは依頼者ひとりひとりに割ける時間が少ないこともあり、丁寧な対応がされない場合も。

しっかり納得して売却したい、担当者と密に連携をとりたい方には向いていないかもしれません。

不動産業者の買取

不動産売買を仲介してもらわず、業者の買取可能額で買取してもらう方法があります。

この場合、不動産業者へ直接売却するので仲介手数料は不要です。

ただしこの場合、実際に売れると想定した額よりも低い額で買い取りになるケースが多く、より高い金額で売却したい方にはあまり向きません。

2つのケースを例にとり説明していきます。

ケース①持ち不動産を売却して住宅資金等に充てたい場合

  • 住宅資金に充てたい場合、住宅ローンを満額借りられるかによっても異なってきます。満額借りることが可能であれば、住宅計画を進めながら売却も並行してゆっくり行えます。

    満額借りることができない場合、住宅計画は不動産を売却した後でないと進めることが難しいです。一部を現金で支払う場合、家が完成して引き渡しになったタイミングで住宅業者へ住宅費用を支払いますが、その時点で不動産が売れていて決済が済んでいる必要があるからです。

    必要になるタイミングギリギリまで売り出しておいて、結果売れなかった場合は買取保証の額で買い取ってもらうという方法もあります。

ケース②不要になった不動産を処分したい場合

  • すぐにお金が必要ではなく、なるべく高い金額で買い取ってもらいたい場合は「売れるまで待つ」というのが基本的におすすめしたいスタンス。

    仲介手数料はかかるかもしれませんが、不動産業者の買取金額と比較すると、トータル仲介手数料を支払った方が手元に残る可能性もあります。

個人間売買

不動産を個人間で売買する際には、メリットが大きく3つあります。

メリット 1: 仲介手数料がかからない

不動産の個人間売買では、間に入る不動産業者がいないため、仲介手数料がかかりません。

売主はコストを抑えて取引することが可能です。

メリット 2: 購入者は消費税が発生しない

不動産の個人間売買では、買主は消費税を支払う必要がありません。

建売住宅の場合、売主は業者になるため建物価格には10%の消費税がかかります。※土地価格は非課税です。

仮に住宅価格が2000万だったとすると、消費税は200万円です。

結構な金額になってしまいますので、個人間売買は買主にとってもメリットがあるということですね。

メリット 3: 媒介契約の規制を受けない

不動産会社に仲介を依頼する「媒介契約」の場合、契約の種類によっては他の不動産業者を利用できなくなったり、自身で買主を探せなくなったりするなどの制限を受ける場合があります。

個人間売買では自身で買主を探せるならばその規制は受けずに済むのです。

個人間売買は様々なメリットがあるなか、専門的知識がないとトラブル発生の可能性が高いことも事実です。

また、きちんとした取引を行おうとすると売買契約書の作成や所有権移転の手続きなどの膨大な作業をすべて請け負うことになります。

時間や手間を節約したい場合は、不動産業者へ依頼することをお勧めします。

値引き交渉

仲介手数料は法律によって上限が定められているだけであって、下回る分には問題ありません。

よって、仲介手数料の値引き交渉は可能です。

もちろん不動産業者が必ずしも値引き交渉に応じてくれるとは限りませんが、チャレンジしてみるのは良いでしょう。

値引き交渉のタイミングは、「媒介契約前」です。

少しでも値引きしてもらえれば依頼します、といったスタンスを見せると交渉成功しやすいでしょう。

仲介手数料を値切るデメリット

一方、仲介手数料を値切るのはデメリットもあります。

多くの不動産業者は仲介手数料を売上の柱としているため、仲介手数料を値切られる=売上が減るということ。

売上が減ることに対して、態度を一変させる業者もなかにはいます。

具体的にいうと、サービスが悪くなったり、優先的に買主を見つけてもらえない可能性があるのです。

仲介手数料を値切る場合は慎重に、少しでも安くしてくれたら嬉しい、といった友好的な態度を取りましょう。

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まとめ

仲介手数料を安くする方法4選を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

不動産売却の流れや仲介業務の内容を知っておくと、仲介を依頼する場合も安心して仲介手数料を支払えますよね。

不動産売却は大きな金額が動く取引になりますので、なるべくならしっかりした不動産業者へお願いすることが、トラブルを防ぐことにもつながります。

しっかりと下調べをして、不動産売却にのぞみましょう。

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