固定資産税評価額は目的別に6種類|違いや調べ方を完全解説

  固定資産税評価額は目的別に6種類|違いや調べ方を完全解説

不動産の評価額は、固定資産税から相続税まで、多くの税金計算の基礎となります。この記事を読むことで、不動産評価額の基礎知識が身につき、自分自身で不動産の適切な価値判断が取れるようになるはずです。

濱田 真理
【執筆・監修】濱田 真理

光回線のオペレーターの傍ら、WEBライターをしています。 通信系ライター時代にSEOについてのライティングを身に着け、以降宅地建物取引士の資格を活かして不動産系SEOライターをしております。 クライアント様には、毎回ほぼ修正なしで高品質の記事を納品できる点を高く評価いただいています。 分かりやすい解説と確かなエビデンスにより、信頼される記事の執筆が可能です。

【保有資格】宅地建物取引士

不動産の評価額は、固定資産税から相続税まで、多くの税金計算の基礎となります。

しかし複数ある評価額の違いについて、疑問に感じている方は多いようです。

この記事では、6種類の不動産評価額それぞれの、目的や調べ方を分かりやすく解説します。

固定資産税評価額の計算方法、相続税路線価の特徴、実勢価格の把握方法、公示価格と基準価格の違いなど、全てを網羅。

また固定資産税の調べ方や相続税路線価の算出方法、不動産に関わる税金の特例にも触れます。

この記事を読むことで、不動産評価額の基礎知識が身につき、あなたの疑問や悩みが解決されるでしょう。

不動産の評価額について正しく理解し、あなたの不動産の価値を自分で確認できます。

不動産評価額は6種類

不動産には目的に応じて評価の方法が異なるため、一つの不動産に対して4〜6種類の評価額があり、「一物四価(一物五価)」と言われます。

一物四価(一物五価)とは?

一物四価は「固定資産税評価額」、「相続税評価額」、「実勢価格」、「公示地価と基準地価」で4つの異なる評価額があるという意味。
公示地価と基準地価を分けて一物五価という場合もある。
通常一物四価もしくは一物五価に不動産鑑定評価額は含まない。

このように評価額がいくつもあるのは、だいたいいくらで売れるかや、どれくらい税金がかかるかなど、目的によって算出する方法が違うからです。

不動産評価額は、以下の6種類あります。

評価額の名称
(選択すると
調べ方へ飛びます)
目的・役割 概要
固定資産税評価額 固定資産税・都市計画税・登録免許税の算定基準 各市町村の不動産鑑定士が評価額の見直しは3年に1度算定する固定資産税路線価から算出する
金額は公示地価の70%程度
路線価
(相続税路線価)
(固定資産税路線価)
相続税路線価:相続税、贈与税の算定基準

固定資産税路線価:固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税の算出基準
相続税路線価:毎年1月1日時点の価格を国税庁が7月初旬に発表
金額は公示地価の80%程度

固定資産税路線価:3年に1度基準年の4月頃に市区町村が発表
金額は公示地価の70%程度
実勢価格 実際の取引価格
売却相場
不動産が市場で実際に売買されている価格
公示地価 土地取引や金融機関の担保評価の指標 国土交通省が発表する1月1日時点の全国標準地の1㎡あたりの価格
対象は都市計画区域が中心
建物があっても更地として評価される
基準地価 公示地価の補完的な役割 各都道府県が発表する7月1日時点の全国基準地の1㎡あたりの価格
都市計画区域外や林地も対象
不動産鑑定評価額 裁判や調停相
続人で均等に土地を分ける際の指標
不動産鑑定士が経済価値を法律に基づき鑑定

各不動産評価額の調べ方

不動産評価額の調べ方は、それぞれ以下の通りです。

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額の調べ方は、以下の4通りあります。

調べ方 概要
固定資産税課税明細書
で確認する
毎年4月~6月頃に送付される納税通知書に同封されている固定資産税課税明細書に記載されている
固定資産税評価証明書
を取得する
各自治体の窓口か各自治体のサイトから申請する
申請できるのは本人か家族・相続人で本人確認書類が必要
固定資産税課税台帳
を閲覧する
各自治体の窓口にて無料で閲覧可能
閲覧できるのは不動産所有者本人・相続人・遺言執行者・相続財産管理人・代理人で本人確認書類が必要
本人以外が閲覧する場合不動産所有者との身分関係を証明する書類も必要
代理人が閲覧する場合委任状も必要
全国地価マップで調べる サイトにアクセス→固定資産税路線価→所有する不動産の住所を検索→固定資産税路線価(1㎡あたりの固定資産税評価額)が分かるので面積をかけると実際の固定資産税評価額が算出できる

固定資産税評価額に0.014をかけると、固定資産税額が算出可能です。

相続税路線価の調べ方

路線価には相続税路線価と固定資産税路線価があり、単に「路線価」というと「相続税路線価」を指すことがほとんどです。

相続税路線価は相続税評価額とも呼ばれ、相続税や贈与税の算出に使います。

路線価は、道路に面した宅地1㎡あたりの評価額のことですが、路線価が設定されていない道路もあるため、算出方法には路線価方式と倍率方式があります。

路線価方式

路線価方式の求め方は以下の2通りです。

【全国地価マップから調べる場合】

  1. 全国地価マップへアクセス
  2. 相続税路線価等を選択
  3. 同意する(最初の1回のみ)を選択
  4. 該当都道府県の市区町村を選択
  5. 地図から数字を確認
  6. 数字×1000で求められる(アルファベットが借地権割合※)

例:290Dと記載の場合相続税路線価は29万円
(アルファベットは借地権割合のため所有地の場合はかける必要なし)

※借地権割合:土地を借りている場合は土地に対する借地権割合をかける必要あり

記号 A B
借地権割合 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30%

【財産評価基準書路線図・評価倍率表から調べる場合】

  1. 国税庁の財産評価基準書路線図・評価倍率表へアクセス
  2. 都道府県名を選択
  3. 路線価図を選択
  4. 該当の市区町村を選択
  5. 路線地図ページ番号を選択
  6. 地図から数字を確認
  7. 数字×1000で求められる

倍率方式

道路上に路線価が定められていない倍率地域は倍率表を基に路線価を計算します。

路線価(=固定資産税評価額×倍率)に奥行価格補正率や影響加算率などを加味するため複雑な計算式になります。

固定資産税路線価の調べ方

固定資産税路線価は、以下の方法で調べられます。

  1. 全国地価マップにアクセス
  2. 固定資産税路線価を選択
  3. 所有する不動産の住所を検索
  4. 該当地域に表示されている数字が固定資産税路線価(1㎡あたりの固定資産税評価額)

実勢価格の調べ方

実勢価格は、不動産が実際に売買されている価格です。

不動産はその時の情勢や築年数、場所、形状、構造などさまざまな要因で価格が変わります。

なるべく正確な実勢価格を調べるには、複数の不動産会社へ査定の依頼が必要です。

一括査定サイトや不動産会社のポータルサイトから無料で依頼でき、机上査定なら数時間後には結果が分かる場合もあります。

公示地価・基準地価の調べ方

公示地価と基準地価は、国土交通省が全国23,000か所の標準値で測定したもので、以下の方法で調べられます。

  • 標準値・基準値検索システムへアクセス
  • 該当都道府県を選択
  • 該当市区町村を選択
  • 検索条件を設定して検索
  • 標準値と基準値の一覧から調べたい土地の住所を探す(パソコンの場合はCtrlキー+Fキーで表示された検索窓に町名などを入力してEnterキーを押すと該当の町名が見つけやすくなります)

不動産鑑定評価額の調べ方

不動産鑑定評価額を調べる際は、不動産鑑定士に鑑定を依頼します。

土地の広さや形状にもよりますが、一般的な住宅地の場合相場は約20万円です。

オススメ記事

固定資産税の勘定科目はどうなる?節税方法や特例措置までわかりやすく解説

所有している固有資産に対して発生する固定資産税はどの勘定科目に該当するのでしょうか?この記事ではそんな固定資産税の基礎知識から仕訳の方法、節税のポイントまで詳しく解説しています。確定申告の際はぜひ参考にしてみてください。

記事を見る

不動産評価額でわかる税額

不動産評価額から、以下のような税金を計算できます。

税金 計算式
固定資産税 固定資産税評価額×1.4%(標準税率)
都市計画税 固定資産税評価額×0.3%(標準税率)
不動産取得税 固定資産税評価額×4%(標準税率)
登録免許税 固定資産税評価額×2%(標準税率)
相続税・贈与税 (相続税路線価ー基礎控除額※)×税率

オススメ記事

不動産を売却したときの確定申告に必要になる書類一覧。入手方法もあわせてご紹介

所有している固有資産に対して発生する固定資産税はどの勘定科目に該当するのでしょうか?この記事ではそんな固定資産税の基礎知識から仕訳の方法、節税のポイントまで詳しく解説しています。確定申告の際はぜひ参考にしてみてください。

記事を見る

特例を利用して節税しよう

評価額から税額がわかったところで、さらに節税についても見ていきましょう。

住宅用地の課税標準
の特例措置
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)固定資産税は1/6の減額
都市計画税は1/3の減額
一般住宅用地(200㎡超えの部分)
固定資産税は1/3の減額
都市計画税は2/3の減額
住宅ローン減税 新築住宅を建てる建物について固定資産税を
一戸建て:3年間1/2に減額
マンション:5年管1/2に減額
相続税・贈与税
の基礎控除
基礎控除額は「法定相続人の数×600万円+3,000万円」で、相続人が多いほど控除額が多くなる

オススメ記事

減価償却資産の耐用年数と実際の寿命の違いがあるのはなぜ?建物構造別の一覧と実際の計算方法を解説

不動産の資産価値を把握する上で建物ごとの耐用年数を理解することは非常に大切です。特に今後不動産投資を検討している方は役立つ情報かと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

記事を見る

まとめ

この記事では、以下のようなことを解説しました。

不動産の評価額には目的に応じて、以下の6種類があります。

  • 固定資産税評価額:固定資産税・都市計画税・登録免許税の算定
  • 路線価(相続税路線価・固定資産税路線価):相続税・贈与税の算定、固定資産税・都市計画税・登録免許税・不動産取得税の算出
  • 実勢価格:実際に取引されている価格
  • 公示価格:土地取引や金融機関の担保評価の指標
  • 基準価格:公示地価の補完的な役割
  • 不動産鑑定評価額:複数の相続人で土地を分ける際や裁判や調停の指標

固定資産税を調べるには以下の4通りの方法があります。

  • 固定資産税課税明細書で確認する
  • 固定資産税評価証明書を取得する
  • 固定資産税課税台帳を閲覧する
  • 全国地価マップで調べる

相続税路線価の調べ方には以下の2通りの方法があります。

  • 路線価方式:全国地価マップや財産評価基準路線図・評価倍率表からべる
  • 倍率方式:路線価に奥行価格補正率や影響加算率などを加味し調て計算する

その他の評価額は以下の方法で調べられます。

  • 固定資産税路線価:全国地価マップから確認可能
  • 実勢価格:複数の不動産会社に査定を依頼
  • 公示地価・基準地価:国土交通省の標準値・基準値検索システム
  • 不動産鑑定評価額:不動産鑑定士に依頼

不動産評価額で以下の税額が分かります。

  • 固定資産税評価額:固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税
  • 相続税路線価:相続税・贈与税

不動産に関する税金には、以下のような特例があります。

  • 住宅用地の課税標準の特例措置
  • 住宅ローン減税
  • 相続税・贈与税の基礎控除

さまざまな評価額がありますが、目的に合わせて最適な評価額を調べることが重要です。

不動産の売却は大きな金額が動くため、評価一つで誤差も大きな金額になる可能性があります。

この記事を読むことで不動産評価額への知識が深まり、大切な財産を守るための役にたてていただければうれしいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

関連記事

注目ワード

Top