都市計画税シミュレーション完全ガイド!税率から計算方法まで徹底解説

  都市計画税シミュレーション完全ガイド!税率から計算方法まで徹底解説

都市計画税とは、所有している土地や建物にかかる税金を指します。本記事では固定資産税との違いや、土地や建物、マンションなど、さまざまな固定資産に対する都市計画税の計算方法を具体的に分かりやすく解説していきます。

濱田 真理
【執筆・監修】濱田 真理

光回線のオペレーターの傍ら、WEBライターをしています。 通信系ライター時代にSEOについてのライティングを身に着け、以降宅地建物取引士の資格を活かして不動産系SEOライターをしております。 クライアント様には、毎回ほぼ修正なしで高品質の記事を納品できる点を高く評価いただいています。 分かりやすい解説と確かなエビデンスにより、信頼される記事の執筆が可能です。

【保有資格】宅地建物取引士

「都市計画税と固定資産税はどう違う?」
「都市計画税の計算が複雑でよく分からない」
「タワーマンションの計算方法は普通のマンションと違うの?」

都市計画税について、このような疑問やお悩みはありませんか?

この記事では、土地や建物、マンションなど、さまざまな固定資産に対する都市計画税の計算方法を、具体的に分かりやすく解説します。

税率の適用から納税額の算出まで、順を追ってシミュレーションします。

またタワーマンションに特有の計算方法も詳しく説明。

これを読めば、ご自分の不動産についても都市計画税の計算方法を理解し、賢く納税計画を立てられます。

都市計画税とは

都市計画税とは、所有している土地や建物にかかる税金です。

この章では、以下の2点について理解する必要があります。

  • 都市計画税と固定資産税の違い
  • 都市計画税の概要

それぞれ解説します。

固定資産税と都市計画税の違い

固定資産税と都市計画税は、どちらも所有している土地や建物にかかる地方税ですが、以下のような違いがあります。

固定資産税 都市計画税
国内に固定資産
(土地・建物・償却資産※1)を所有している全員が対象
市街化区域内
※2の土地や建物を所有している人のみが対象

※1 償却資産:会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など

引用元:総務省|固定資産税

※2 市街化区域:都市計画区域について、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るために定める区域区分のうち、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域

引用元:福岡市|市街化区域とは

都市計画税の概要

都市計画税の概要は、以下の通りです。

目的 都市計画事業や土地区画整理事業を行う市町村が、都市計画区域内にある土地や建物に対して、その事業に必要となる費用に充てるために課する税金
対象となる区域 市街化区域
確認方法:「都市計画図 〇〇市」など該当の市町村名で検索し「都市計画図」で確認可能

市街化調整区域と都市計画区域外は課税対象外
非線引き区域は市町村によって課税対象外の場合もある
納める人 1月1日現在、土地や建物の所有者として、固定資産税課税台帳に登録されている人
税率(制限税率) 税率は自治体によって異なるが、上限0.3%
資料:国土交通省の都市計画税徴収市町村及び税率
納める税額 6月ごろ届く納税通知書に記載
土地:課税標準額×制限税率
建物:固定資産税課税台帳に登録されている価格×制限税率
納める時期
※都市計画税の計算方法で
詳しく解説します
6月ごろ届く納税通知書に記載の第1~4期の各納期限までに固定資産税と一緒に納める
第1期:6月1日~6月30日まで
第2期:9月1日~10月2日まで
第3期:12月1日~12月27日まで
第4期:2月1日~2月29日(令和5年の例)
納める方法 窓口での現金支払い・口座振替・Paypayなどのスマホ決済・インターネットバンキング・クレジット決済など

都市計画税の計算方法【土地編】

土地の都市計画税の計算をするには、以下の手順を踏みます。

  1. 課税標準額の特例対象か判定する
  2. 負担水準を算出する
  3. 箇条書きリスト(改行あり)
  4. 都市計画税を算出する

それぞれ解説します。

課税標準額の特例対象か判定する

住宅用地(住宅の敷地)については課税標準額の特例があり、税負担が軽減されるため、以下の表を参考にして、特例対象かを判定しましょう。

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地
(200㎡までの部分)
評価額の1/6 評価額の1/3
一般住宅用地
(200㎡を超える部分)
評価額の1/3 評価額の2/3

引用元:柏市|課税標準額の特例措置

負担水準を算出する

負担水準とは、土地に対する前年度の課税標準額が、当該年度の評価額に対してどの程度の水準まで達しているかの指標です。

負担水準の程度により、当該年度の課税標準額が前年度の課税標準額と比べて上昇か、据置か、引下げかが決まります。

負担水準=前年度の課税標準額 ÷ {当該年度の評価額(×住宅用地などの特例率)}×100

課税標準額を判定する

負担水準に応じた課税標準額が、上がるか、据置か、下がるかを、以下の表から求めます。

負担水準 税額
(前年度比)
課税標準額
固定資産税 都市計画税
100%以上 引下げ
または据置
本則課税標準額
(=評価額×1/6)
本則課税標準額
(=評価額×1/3)
100%未満 上昇 前年度課税標準額+当該年度評価額×1/6(または1/3)×5%
(ただし当該額が特例適用後の評価額の100%を上回る場合は100%相当額とする)
また、当該額が特例適用後の評価額の20%を下回る場合は、20%相当額とする)

引用元:柏市|課税標準額の判定

都市計画税を算出する

土地に対する都市計画税の計算式は、以下の通りです。

都市計画税=課税標準額×制限税率

税率は市町村によって異なりますが、最大0.3%のため「制限税率」としています。

東京23区内では、令和5年度の小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの土地)にかかる都市計画税について、税額の1/2を軽減しています。

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都市計画税=固定資産税評価額(課税標準額)×制限税率

税率は土地と同じく、市町村によって異なりますが、最大0.3%のため「制限税率」としています。

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都市計画税のシミュレーション【戸建て住宅編】

戸建て住宅は土地と建物それぞれに都市計画税がかかるので、土地と建物の計算式で別々に算出し、両方の都市計画税を合算します。

戸建て住宅の都市計画税について、東京都主税局のシミュレーションを引用します。

【事例】

  • 令和3年10月に東京都23区内の土地に住宅を新築した。


    土地面積:150㎡
    令和5年度の土地の評価額:4,500万円
    令和4年度の土地の固定資産税課税標準額:675万円
    令和4年度の土地の都市計画税課税標準額:1,470万円
    建物の床面積(木造):100㎡
    令和4年度の建物の評価額:900万円

都市計画税の計算は以下の通りです。

【土地】

内容 事例の場合 説明
令和5年度の評価額 (1) 4,500万円  
課税標準額 (2) 1,500万円 (1)×1/3(小規模住宅用地の特例)
令和4年度課税標準額 (3) 1,470万円  
負担水準 (4) 98% (2)÷(3)×100
負担調整措置 A 1,545万円 (3)+((2)×5%)
令和5年度課税標準額 (5) 1,500万円 A>(2)の場合は(2)、A<(2)の場合は(2)×20%
今回Aは(2)(1,500万円)を上回るため(5)=(2)
当初税額 (6) 4万5,000円 (5)×税率(0.3%) (円未満切捨て)
軽減額(7) 2万2,500円 (6)×1/2 (東京23区の小規模住宅用地の軽減)
相当税額 2万2,500円 (6)-(7)

【建物】

内容 事例の場合 説明
令和5年度の評価額 (1) 900万円  
令和5年度課税標準額(2) 900万円 (1)=(2)
相当税額 2万7,000円 (1)×税率(0.3%) (円未満切捨て)

引用元:東京都主税局|固定資産税・都市計画税の計算例

今回の事例では、土地に対して小規模住宅用地の特例(200㎡までに該当)と東京都23区内のおける小規模住宅用地の軽減が適用されるため、土地の2万2,500円と建物の2万7,000円の合計4万9,500円が都市計画税となります。

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タワーマンションの都市計画税を計算する際の注意点

マンションの都市計画税を求める場合、まずは課税対象となる床面積の算出が必要です。

  1. 以下の計算式で課税対象となる床面積を求める
    所有する区画面積+(共用部の面積×専有部分の総床面積÷所有する区画面積)
  2. 以下の式でマンションにかかる都市計画税を求める
    敷地全体の固定資産税評価額÷課税対象となる床面積×制限税率

タワーマンションでは高層階と低層階では価値が異なるため、平成29年度税制改正により、タワーマンション(=居住用超高層建築物※)にかかる固定資産税と都市計画税が見直されました。

同じ広さのマンションでも、1階と比べて40階は価格が2倍近くなる場合もあるのに、固定資産税や都市計画税が同じというのは不公平だからです。

【居住用超高層建築物】

居住用超高層建築物とは、高さが60mを超える建築物のうち、複数の階に住戸が所在しているタワーマンションのことで、およそ地上20階以上のマンションが該当します。

税制改正後のタワーマンションにおける都市計画税の計算方法は、以下の通りです。

タワーマンションの都市計画税=敷地全体の固定資産税評価額÷課税対象となる床面積×階層別専有床面積補正率×制限税率

【階層別専有床面積補正率】

階層別専有床面積補正率とは、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が1増えるごとに、これに10/39(=0.25641)を加算したものです。

階層別専有床面積補正率(%)=(階層-1)×0.26541+100

例:1階にかかる都市計画税が100の場合、40階の都市計画税は110(固定資産税も同様)

参考元:税理士法人FP総合研究所|タワーマンションの固定資産税の計算方法

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まとめ

この記事では、以下の内容について解説してきました。

納税対象者は、都市計画税が市街化区域内に土地や建物を所有している人に対して、固定試案税は国内に固定資産を所有している全員です。

都市計画税は、市町村が都市計画事業や土地区画整理事業を行うための費用に充てるのが目的です。

税率は上限3%で、各市町村によって異なります。

納める時期は、6月ごろ届く納税通知書に記載の第1期~第4期の各納期限までです。

土地に対する都市計画税の計算は、以下の手順で行います。

  1. 課税標準額の特例対象か判定する
  2. 負担水準を算出する
  3. 課税標準額を判定する
  4. 都市計画税を算出する

土地に対する都市計画税の計算式は以下の通りです。

都市計画税=課税標準額×制限税率(上限3%)

建物に対する都市計画税の計算式は以下の通りです。

都市計画税=固定資産税評価額(課税標準額)×制限税率(上限3%)

マンションの都市計画税は、以下の手順で計算します。

  1. 課税対象となる床面積を求める
  2. 敷地全体の固定資産税評価額÷課税対象となる床面積×制限税率

地上60m以上のタワーマンションの計算式は、以下の通りです。

タワーマンションの都市計画税=敷地全体の固定資産税評価額÷課税対象となる床面積×階層別専有床面積補正率×制限税率

階層別専有床面積補正率は、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が1増えるごとに、これに10/39(=0.25641)を加算したもので、中間層より上の階は都市計画税が上がり、下の階は下がります。

制限税率は、各市町村によって異なりますので、必ず土地や建物を所有する市町村で確認しましょう。

この記事を参考にしていただき、ご自身の不動産に適用されている税率を、自信を持って計算できるようになって頂ければ嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考元:都市計画税の計算方法は?一戸建てやマンションの都市計画税がいくらになるかを解説

参考元:Q&A 土地と家屋の固定資産税・都市計画税は、どのように算出するのですか? | 柏市役所

参考元:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局

参考元:タワーマンションの固定資産税の計算方法

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