中古マンションの賢い選び方とは?資産価値を落とさないために抑えておきたい5つのポイント!

  中古マンションの賢い選び方とは?資産価値を落とさないために抑えておきたい5つのポイント!

本記事では、中古マンションの資産価値を落とさないため、注目すべき5つのポイントについて解説していきます。今後を住み替え、購入を検討している方には特に参考になる内容かと思いますので、ぜひ参考にしてください。

大滝義雄
【執筆・監修】大滝義雄

普段は、業務歴20年の建設業支援専門の行政書士です。文章を書くことが好き&得意で、行政書士業務の傍ら、公的機関などで不動産、法律関係の専門性の高い記事を執筆。専門的な資料を精読したうえで、一般の方に向けて、正確かつ分かりやすく書くことを心がけており、好評を頂いております。ライターの仕事は知識を吸収し整理することにもつながるので、これからもコツコツ続けていきます。

【保有資格】行政書士&法律行政専門ライター

中古マンションの選び方で大切なことは、将来の売却も見据えた中長期的な視点から物件を選ぶことです。

中古マンションを不動産投資目的で購入する場合はもちろんのこと、自分で住むために購入する場合でも、資産価値を落としたくないですよね。

この記事では、資産価値を落とさないために中古マンションの選び方で意識したい3つのポイントと、リノベーションする際の2つのポイントを紹介します。

資産価値の高いマンションとは

資産価値の高いマンションとは、購入時と比べて、売却時や賃貸に出す時に損をしないマンションを意味します。

具体的には次のような状態になれば、損しなかったことになります。

  • 売却する場合は、購入時に組んだ住宅ローンの残債を売却代金により完済できる。
  • 賃貸に出す場合は、購入時に組んだ住宅ローンの支払額よりも、賃料収入の方が多い。

資産価値の高いマンションならば、売却後でも、数百万円から数千万円といったキャッシュが手元に残ることもあります。

一方、資産価値の低いマンションの場合は、マンションを売却しても、住宅ローンが残ってしまったり、賃貸に出しても、住宅ローンの支払額よりも賃料が低くなったりします。

このような事態を避けるためには、マンションの選び方がポイントになります。

新築マンションと中古マンション、選ぶならどっち?

どんなマンションでも、マンションの価値は、新築時が最も高く、築年数を経るごとに価値が下落していくことは避けられません。

鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は、47年とされており、約50年も経過すると建て替えの検討も必要になりますから、建物自体の価値はほとんどなくなってしまいます。

ただ、マンション価値の下落曲線は、一定の年数に達すると緩やかになります。

新築時から築15年ごろまでは、緩やかに価値が下落し続けますが、築16年から築25年に急速に価値が下落し、築26年以降は、価値がほとんど変わらないのが一般的な傾向です。

築16年から築25年の中古マンションで価値が急落するのは、この時期に大規模修繕が必要になることが多いことも関係していると考えられます。

築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)
図表6-1 中古マンションの築年帯別平均価格
レインズデータライブラリー

この傾向からすると、新築マンションを購入した場合は、最も高い価格でローンを組んでいることになりますから、途中で売却したり、賃貸に出したりすると、損しやすいことになります。

それに対して、築25年あたりの中古マンションを購入すれば、価格が落ちてきた段階でローンを組んでいるので、途中で売却したり、賃貸に出したりしても、損しにくいと言えるわけです。

不動産投資の面では、築25年あたりの中古マンションで、大規模修繕を無事に終えている物件が狙い目と言えるでしょう。

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損しないための中古マンションの選び方

中長期に資産価値を保つためには、中古マンションの選び方がポイントになります。

自分の家族に合わせた計画を立てることはもちろん、将来、更に築年数の経ったマンションをどういう人が購入したり借りたりするのかも見据えた中長期的な計画が必要になります。

中古マンションの選び方のポイント1【立地条件】

立地条件はマンションの価値に直結します。

一般的に、マンションを選ぶ人は、駅から近い。都心に電車一本で行ける。商業施設が近くにある。といった利便性を重視しています。

利便性の高い立地に立つ中古マンションを選んでおけば、将来、売却したり、賃貸に出したりする場合でも、すぐに売れたり借り手が付いたりするため、投資物件としても有利になります。

また、近年は、地震や台風、豪雨などの大規模な災害が頻発しているので、ハザードマップのチェックも忘れてはなりません。

河川や海が近くにない場合でも油断はできません。

河川がない都市部でも、線状降水帯による局地的な豪雨災害が発生した場合は、下水道等の排水能力を超えてしまい、「内水氾濫」という形の浸水被害が発生することがあります。

低地になっている土地にマンションが建っている場合は、内水氾濫に巻き込まれる可能性も想定する必要があります。

立地条件でチェックしたい項目

□最寄り駅と駅からの距離

最寄り駅が都心に近く、各駅停車だけでなく快速や急行などすべての電車が止まる駅であること。

最寄り駅からの距離が、徒歩5分以内か、10分以内であること。

□周辺施設

次のような施設が近くにあること。

スーパーなどの買い物をする施設、病院やクリニック、市役所、郵便局、銀行、学校

□災害リスク

ハザードマップで洪水や土砂災害の危険性のある場所に建っていないかをチェックする。

都市部でも内水ハザードマップを要チェック。

中古マンションの選び方のポイント2【マンションの管理状況】

マンションは管理が行き届いていなければ、ゴーストマンションになってしまいます。

マンションを管理するためには、毎年多額のコストがかかりますし、大規模修繕に備えて修繕費も積み立てなければなりません。

そのためには、管理組合が機能しており、管理費や修繕積立金の滞納が発生していないことが重要になります。

築年数の割には、マンションの傷み具合がひどかったり、補修が必要な個所が放置されていたりする場合は、管理費が足りていない可能性もあります。

マンションの管理状況でチェックしたい項目

□重要事項調査報告書

マンション管理会社が発行してくれるので必ずチェックしましょう。

基本的にすべての項目をチェックしますが、資産価値の維持の面で注目すべきことは、管理費や修繕積立金の滞納がないか、大規模修繕に必要な額が積み立てられているかという点です。

□共用部

マンションを内見する際に特にチェックしたいのが敷地や共用部です。

敷地の雑草が伸び放題だったり、共用部にゴミが散乱していたり、私物で通路を塞ぐ状態になっているマンションは、住民の管理意識が低い可能性があります。

管理意識が低いと管理費の滞納が発生したり、修繕の話し合いでも非協力的な住民が多かったりして、住環境が悪化しやすくなります。

将来は、マンションから出ていく住民が増えて、マンションの管理が難しくなり、資産価値が大幅に下落する可能性があります。

□マンションの住民

実際にマンションにどんな人が住んでいるのかは、内見した際にチェックしたい項目です。

トラブルメーカーになりそうな人がいるかどうかはもちろん、チェックしたい点ですが、資産価値の維持の面で注目すべきことは、住民の年齢層です。

現役世代は、管理費や修繕積立金の支払い能力が高いですが、年金収入が主な高齢者は支払い能力が低くなります。

高齢者が多いマンションだと、滞納が発生しやすかったり、高齢者が亡くなった後で空室になりやすかったりといった理由により、資産価値に影響してくる可能性があります。

□総戸数

総戸数は、管理組合の運営負担や管理費、修繕積立金の負担に直接関係します。

総戸数が多ければ多いほど、管理組合の役員を担当する頻度が少なくなりますし、管理費、修繕積立金の負担額も少なくて済むことになります。

こうした負担が少ないことは、将来、売却する際にも売りやすいポイントになります。

中古マンションの選び方のポイント3【マンションの住環境】

住み心地の良い住戸は、築年数が経っても、買い手や借り手が付きやすいものです。

南に面した住戸はやはり、人気が高く、次いで、東向き、西向き、北向きという順で評価が低くなります。

また、1階は価値が低く、上階に行くほど価値が高くなる傾向もあります。

ただ、1階なら、専用の庭が使える、移動が少なくて済むというメリットもあるため、一概に不人気とは言い切れません。

また、専有面積は広ければ、広いほど良いことになりますが、将来の売却や賃貸を考えるなら、そのエリアの需要も考慮すべきでしょう。

駅に近く都心にも近い場所に建つマンションの場合は、単身世帯の需要が高いので、あまりに広すぎる住戸は、売りにくかったり、借り手がつきにくかったりすることもあります。

マンションの住環境でチェックしたい項目

□住戸の方角

マンションの住環境を左右するのが方角です。

南に面した住戸が最も住みやすく、価値が高くなりますし、逆に北側に面した住戸は価値が低くなります。

併せて、風通しが良いかどうかもチェックすべき項目になるでしょう。

□周辺の環境、景観

周辺の環境も重要です。

マンションの周辺に大きな空き地があれば、その空き地にも新たにマンションが建つ可能性を考慮する必要があります。

この場合、高層階からは見晴らしがよかったのに、新たにマンションが建ったために景観が損なわれてしまい、資産価値にも影響する可能性があります。

□音

高速道路や線路が近いと騒音も気になるでしょう。

そのために防音性の高い窓が設置されていることもありますが、初夏などの季節は窓を開けたまま過ごしたいこともあるでしょう。

そのため、窓を全開にした状態でも騒音が気にならないかチェックすべきでしょう。

また、隣や上階からの音が気にならないかも確認します。

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中古マンションのリノベーションで資産価値を落とさないためのポイント

マンション管理規約に特別な制約が定められていない限り、マンションの専有部分は所有者が自由にリノベーションすることができます。

築25年以上のマンションを購入する場合は、リノベーションを前提にしていることもあるでしょう。

でも、リノベーションしてしまうと、将来の売却時に売りにくかったり、賃貸に出しても借り手が付きにくくなったりすると不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

結論から言うと、よほど特殊なリノベーションを行うのでない限り、それほど心配する必要はありません。

ただ、資産価値を落とさないためにはいくつかのポイントがあります。

中古マンションのリノベーションのポイント1【需要の高い間取りと内装を選ぶ】

マンションを選ぶ時に、多くの人が重視する点に合わせた間取りにすることです。

また、内装は多くの人に好まれやすいシンプルで清潔感のある空間になるよう意識すべきでしょう

需要の高い間取りと内装の具体例

□リビングの面積をできる限り大きく確保する。

リビングの広さは、世代や家族構成に関わらず、重視されやすいポイントです。

元の部屋数が多くてリビングが手狭になっている場合は、部屋数を減らしてでもリビングを広く確保すべきでしょう。

□生活動線と家事動線を意識した間取りにする。

一戸建てと比べて、マンションは生活動線や家事動線の面で優れています。

特に家事動線は重要です。

洗濯する場所と干す場所をできる限り近づける、キッチンをストレスなく使える間取りを考えて、メリットを最大限に生かすべきでしょう。

□収納場所を広く確保する

一戸建てなら屋根裏、地下室を設けたり庭に小屋を建てたりと、収納スペースに困ることはほとんどありませんが、マンションは収納スペースを確保しづらい点が欠点となっています。

デッドスペースをうまく活用して、ウォークインクローゼットなどを設けるとよいでしょう。

□内装はシンプルに

特殊な色や模様の入った壁紙は、好みが分かれます。

やはり、ホワイト系のシンプルで清潔感のある壁紙を中心に使うようにするとよいでしょう。

また、ホワイト系のシンプルな壁紙は圧迫感がないため、部屋が広く感じる効果もあります。

中古マンションのリノベーションのポイント2【住宅の性能を向上させる】

様々な住宅設備を追加し、住宅の性能を向上させることが資産価値を維持することにつながります。

住宅の性能を向上させるための具体例

□住宅設備は妥協しない

大きな住宅設備は、ユニットバス、システムキッチン、洗面所、トイレになるでしょう。

例えば、ユニットバスであれば、高級なユニットバスを選ぶ必要はありませんが、安すぎるユニットバスだと、将来の売却時や貸す時に交換が必要になるかもしれません。

その分、価値が下がったり、負担が増えたりします。

初めから、一般的なニーズに沿った商品を選んでおくべきでしょう。

□住宅性能を向上させる設備を設置する

中古マンションの購入時には設置されていない設備を追加すると資産価値が高まります。

例えば、窓に内窓を設置したり、壁に断熱材を追加したりして、断熱性を高めるとよいでしょう。

また、マンションでは石油ストーブが使えないこともあるため、主な暖房はエアコンだけということもあります。

このような場合は、床暖房を追加することで、かなり快適に過ごせるようになります。

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まとめ

投資面も考慮し、中長期的に価値を維持できる中古マンションの選び方で重要なのは次の3点です。

  1. 立地条件
  2. マンションの管理状況
  3. マンションの住環境

そして、中古マンションをリノベーションする際は将来の売却や賃貸も見据えて次の2点を意識しましょう。

  1. 需要の高い間取りと内装を選ぶ
  2. 住宅の性能を向上させる

この5点が、中古マンションを選び、リノベーションする際のポイントになります。

ぜひ、参考にしてください。

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