借地権って売却できるの?売却時の注意点と抑えるべきポイントを専門家が解説

  借地権って売却できるの?売却時の注意点と抑えるべきポイントを専門家が解説

借地権付きの不動産は売却することはできますが、少し注意点が必要です。本記事では借地権に関しての基礎知識から押さえておくべきポイントまで詳しく解説していきます。

宮本建一
【執筆・監修】宮本建一

金融機関に30年あまり在籍し、預金業務や融資業務、経理事務および内部監査業務、審査管理業務を経験しました。 これらの知見をもとに、金融関連(ファクタリング、資金調達、運転資金)、FP関連(保険、不動産、介護)、および法律関連(債務整理、遺産相続)を中心に執筆しています。 また、金融機関行職員を対象とした通信講座の教材執筆にも携わっています。

【保有資格】・FP2級 ・AFP ・金融内部監査士 ・簿記2級

「借地権付き建物の売却は可能なのか」と思われている人がいるかもしれませんが、借地権は売却可能です。借地権を売却するには、押さえておきたいポイントがあります。

本記事では、借地権売却時における注意点やポイントについて解説します。

借地権の売却方法や手順についてもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

借地権について

借地権とは、借地借家法によれば、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう」と定められています。(参考:e-Gov法令検索|借地借家法

土地を持っていない人が、自分名義の建物を建てるために地主より土地を借りる権利が借地権です。

借地権には、借地借家法に記されているように「地上権」「賃借権」の2種類あります。

借地権の種類

前述の通り、借地権の種類には「地上権」「賃借権」の2種類があるので、それぞれについて解説します。

「地上権」

地上権とは、建物を所有するために土地を使用する権利のことです。

地上権の範囲は、地面に加えて、その土地上の空間および地下も範囲として含まれます。

民法上の「物権」(所定の物を支配する権利)に地上権は該当し、地主の許可なく売却および転貸(又貸し)ができるのが特徴です。

また、地上権設定登記が必要で、抵当権の設定ができます。

「賃借権」

賃借権とは、建物を所有するために、地主より土地を借りる権利のことです。

賃借権は民法上の「債権」(債務の履行を相手方に請求できる権利)に該当するため、賃借人は地主に地代を支払う義務があります。

賃借権は、地主の許可なく売却やリフォーム、転貸が不可であったり、抵当権の設定ができなかったりする点が特徴です。

借地権を売却する方法

次の4点が借地権を売却する方法としてあります。借地権を売却する場合、地主の承諾を得ることが必須であるので注意しましょう。

  • 地主に売却する
  • 第三者に売却する
  • 等価交換後に第三者に売却する
  • 借地権と底地権を第三者に売却する

また、地主が借地権の売却を承諾しない場合、借地人は「借地非訟」という方法で借地権を売却する方法があるので、あわせて解説します。

地主に売却する

借地権を地主に売却交渉して、売却することで、地主が建物の所有者となります。

地主にとってのメリットとして、借地権に底地権(借地権が設定されている土地の所有権)を加えた「完全所有権」を取得できる点があります。

つまり、借地権が消滅します。しかし、必ずしも地主が借地権を買う必要がない点に注意が必要です。

第三者へ売却する

買主が個人あるいは不動産会社にかかわらず、借地権を第三者へ売却する場合、地主の承諾が必要です。

地主の承諾を得る場合、「譲渡承諾料」を支払うとされています。

譲渡承諾料とは、借地権を第三者に譲渡する場合、慣習として借地人が地主に対して支払うもので、借地権価格の10%程度とされています。

等価交換後に第三者に売却する

等価交換では、借地人が所有している借地権の一部と、地主の持っている底地権の一部を同等なだけ交換し、その後に第三者に売却する方法です。

土地・建物それぞれに所有権を得ている状態となっているため、買手がつきやすくなるメリットがあります。

一方、注意点として、等価交換を行う場合、面積の測量および登記における手間や費用が必要となる点があります。

借地権と底地権を第三者に売却する

地主と協力して、地主の保有する底地権を借地権とあわせて「所有権」として同時に売却する方法があります。

地主にとって、自身の土地ではあるものの、自由に使用できないうえに、固定資産税の支払い等負担もあります。

底地権の売却により、地主は土地を手放すこととなるので、借地権と底地権をあわせて売却する場合、地主に対して事前交渉や説得が重要となります。

借地非訟

借地権の売却を地主が承諾しない場合、借地人は裁判所に「借地非訟」の申立てを行うことで借地権の売却が可能です。

裁判所は、地主に代わって事情を勘案し、売却の許可を与えるか否かを判断します。

借地非訟の申立てには労力がかかり、裁判所から売却の許可が出ても、売却まで時間がかかることが考えられます。

何より、地主との関係はさらに悪化することが避けられないでしょう。

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借地権を売却する手順

第三者に借地権を売却する場合、借地人は通常、不動産会社を介して買主を探してもらいます。

ここでは、不動産会社を介した借地権の売却手順について説明します。借地権を売却する手順は次の通りです。

  1. 不動産会社に査定依頼および仲介契約の締結
  2. 地主の承諾
  3. 売却活動の開始
  4. 売買契約の締結
  5. 借地権譲渡承諾書の作成
  6. 借地権の引渡し

①不動産会社に査定依頼および仲介契約の締結

借地人は、借地権の売却を検討し始めた場合、複数の不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。

複数の不動産会社で査定をしてもらうことで、借地人は不動産が持つ相場感を把握できます。

査定結果より、借地人は信頼できると判断した不動産会社に仲介を依頼し、契約を締結します。

②地主の承諾

借地権の売却において、地主の承諾は必須です。

地主の承諾には、借地人が直接地主と交渉するより、不動産会社の仲介担当者を介して行うのが一般的です。

仲介担当者は、専門知識を有しており、私情をはさまずに、地主との交渉が可能です。

承諾料や売却方法など、借地人が直接地主に交渉するよりも、仲介担当者に依頼するほうがスムーズに交渉が進められるでしょう。

③売却活動の開始

借地権の売却について、地主が承諾すれば、不動産会社は売却活動を開始します。

自社サイトや、不動産ポータルサイト、およびレインズへの不動産情報を登録するといった売却活動を行います。

④借地権譲渡承諾書の作成

不動産会社の売却活動の結果、買手が見つかった場合、地主に借地権譲渡承諾書を作成してもらいます。

この承諾書がない場合、売手と買手との間で交わす売買契約が無効となるので注意が必要です。

⑤売買契約の締結

地主の借地権譲渡承諾書を作成後、買手と売手で売買契約を締結します。

買手が第三者の場合、地主に承諾料の支払いを求められることがほとんどです。

承諾料は借地権価格の10%程度とされていますが、不動産会社に確認するので無難です。

⑥借地権の引渡し

正式な借地権の売買契約が成立したら、買主に借地権付建物の引渡しを行います。

同時に、建物の所有権も借地人から買主に移るので、所有権移転登記が必要です。

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借地人が借地権を売却する際の注意点や押さえるべきポイントについて解説します。

売却の際の注意点

借地権付き建物を売却する場合、注意する点として、買手が見つかるまでに時間がかかることがあります。

借地人の中には、早期に借地権付き建物の売却を検討する人もいるかもしれません。

買手が見つからずに販売期間が長くなる恐れがあるので注意が必要です。

主な理由として以下の点が考えられます。

  • 買手の住宅ローン申請が通りにくいケースがある
  • 地主の抵当権の設定を認めない場合、住宅ローン利用での売却ができない
  • 借地権付き建物は、価格が安く抑えられる傾向にある
  • 不動産仲介業者による「囲い込み」

囲い込みとは、不動産会社が自社の顧客にのみ情報提供し、他社へは情報共有しない行為です。

不動産会社1社のみの仲介契約となる「専属選任媒介」「専属媒介」契約を借地人が不動産会社と締結した場合に起こり得ます。

押さえておくポイント

借地権者が押さえておきたいポイントとして、地主との良好な人間関係を築くことがあげられます。

借地権の売却の際には必ず地主の承諾が必要です。

地主との人間関係が良好でないと、借地権を売却する場合、承諾しないケースも考えられ、借地権の売却ができない恐れがあります。

承諾しない場合でも、裁判所に借地非訟を申し立てることで借地権の売却は可能です。

しかし、売却まで時間がかかり、何より地主との間にしこりが残ります。

地主との良好な人間関係を築くことで、借地権の売却も円滑に行われるでしょう。

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まとめ

借地権は売却が可能です。

売却には地主の承諾が不可欠で、承諾が得られない場合、通常借地権を売却できません。

裁判所に借地非訟を申し立てることで借地権の売却が可能ですが、おすすめできる方法ではありません。

借地権付き建物を売却する場合、通常の土地建物を売却するより時間がかかる傾向にあります。

ゆとりを持って準備にとりかかり、後悔しない取引にしましょう。

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