サッカー、野球、高校はバスケ部に入ったが、高校生にでもなると自分はどうやら球技が大して得意ではないし、寝食を忘れるほどに熱中出来ないことが良く分かった。
高校1年間はバスケ部、2年に上がると同時に引退宣言し（ただの退部だが）、無所属の時間を過ごすことになった。
そのような折、生まれて初めて寝食を忘れるほどに熱中出来るものに出会った。
それは「働くこと」、バイトだった。
両親はバイトに反対、特に母は猛反対だったが、近所の幼馴染のお母さんがパートで働いている「立川駅前のマクドナルドなら」という限定条件のもと許可が下りた。
人生で初めてバイトの採用面接に行った日のことは、緊張し過ぎて殆ど覚えていない。
いかにも愛想の良い副店長に導かれ階段を下り、地下の社員室にはいると堤真一そっくりの店長が座って待っていた。GOOD LUCK!!の時の堤真一のような感じ。
副店長とは真逆であまり喋らず、無言の間に何とも言い難い緊張感を覚えた。
ただ、店長は笑うととても爽やかで、半縁故採用ということもあり無事採用された。
2003年、あの当時のマックはたしか時給700円ちょっとがスタートラインで、役職が上がると高校生で最大750円だった気がする。今の最低時給から考えると恐ろしく低い。
初めて出勤した日、晴れて「クルー」の一員になった証拠に制服が与えられた。
自分はトレーニーという見習いの役職からスタート。トレーナーという役職の人に、勤怠の付け方等を教えてもらった後、裏方に案内されマニュアルがびっしりと書かれた1冊のノートを渡された。
「この項目を全てクリアしたらCクルーになれる」という明確な目標設定のもと、僕の修業が始まった。
幸か不幸か、僕が働き始めた立川伊勢丹前のマクドナルドは、立川では勿論のこと、多摩エリア全域でも屈指の売上上位店、繁忙店だった。
自然、優秀な人材も多く、当時高校2年生になったばかりの僕からすれば、周りは皆大層立派な大人に見え、マック歴が先輩の同い年の子ですら随分と大人に見えた。
記憶が曖昧で役職表記が間違っているかもしれないが、親と同世代の店長・副店長がトップに君臨し、ほぼ同じ能力・権限を持つ働き盛り20代のスウィングマネージャーが4人（たしか）。
このスウィングマネージャー達がめちゃくちゃ仕事が出来る。そして最初はよく怒られ怖かったが、一番可愛がってくれたのもこの人達だ。
その下に前方も裏方も出来るスウィングがいて、更にその下にスターという前方の花形がいた。スターは前方での接客全てにおける若頭というか、可愛い女性が担っていた。着ている制服も一人だけ違い華やかな制服だった。
記憶が曖昧だが、スターは決して女性限定ではなく男性も一人いた気がするが、スターと同格の男性はトレーナーという役職に就くことが多く、裏方でフードを作りながら下ネタ全開トークを男性陣で繰り広げるのが常であった。僕はフードを作る裏方の仕事をこのトレーナーに教えてもらった。
更にその下にAクルー、Bクルー、Cクルーがいて、自分は気が遠くなるほど一番下のトレーニー。
この最底辺から、僕の怒涛のバイト生活が始まる。続く
